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深大寺のモーツァルト 調布国際音楽祭支える地元力

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NIKKEI STYLE

東京都調布市で調布国際音楽祭が開かれている(6月24日~7月1日)。今年で6年目、「国際」を名乗り始めて2年目だ。調布には音大の桐朋学園大学があり、もともと音楽都市としての基盤がある。地元の資源を活用しつつ、海外の著名アーティストも招き、世界水準の音楽祭と位置付ける。深大寺本堂でのモーツァルト作品の弦楽三重奏公演をはじめ、同音楽祭の地元力と国際性を探った。

都内屈指の古刹、天台宗別格本山・浮岳山昌楽院深大寺。奈良時代の733年(天平5年)に開創し、2017年には所蔵の白鳳仏が新たに国宝に指定され、国内外から観光客を集めている。深大寺本堂で6月27日に開かれたのが、寺神戸亮トリオ公演。僧侶たちが天台声明を詠唱した後、武蔵野の森に抱かれた深大寺にモーツァルトの「弦楽三重奏のためのディヴェルティメント変ホ長調」が優雅に鳴り響いた。

日本古来の文化と西洋音楽が出合う深大寺公演

深大寺に今も残る最古の建造物「山門」は1695年(元禄8年)に建立された。「山門が建てられた年は、バッハの誕生年(1685年)と10年しか離れていない。何かの縁を感じる」と同音楽祭エグゼクティブ・プロデューサーで指揮者兼鍵盤楽器奏者の鈴木優人氏は山門を眺めながらつぶやく。鈴木氏がバッハとの関連でこう語るのは、調布国際音楽祭の基本方針の中に「バッハ」があるからだ。彼がコンセプトとして挙げるのは「バッハに触発された音楽祭」「音楽以外の芸術との交流」「次世代に音楽のよろこびを受け継ぐこと」の3つ。バッハの時代に近いクラシック音楽を、日本の伝統文化が息づく深大寺で、一般の人々に聴いてもらう。「日本古来の文化と西洋音楽の取り合わせを楽しんでほしい」と寺神戸氏が語った深大寺本堂での弦楽三重奏公演も3つのコンセプトにかなっている。

欧州と同様、日本の夏もクラシック音楽祭に彩られる。大分県別府市を中心に5~6月に開催された「別府アルゲリッチ音楽祭」、長野県松本市で8~9月に開かれる「セイジ・オザワ松本フェスティバル」は、いずれもピアニストのマルタ・アルゲリッチさん、指揮者の小澤征爾氏という著名アーティストを主役にした大きな音楽祭だ。7~8月の「霧島国際音楽祭」、8月の「草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル」はそれぞれ鹿児島県霧島高原と群馬県草津温泉という有数のリゾート地を会場にする。

こうした中で、調布のような東京郊外の一都市が、世界に発信する勢いで開く国際音楽祭は珍しい。グリーンホールをはじめ市内の演奏会施設のほか、京王線調布駅前広場も使って、大小計49公演を開く。原動力としてまず挙がるのが、人口約23万人の調布市に住む音楽家や、同市内に通学する音大生など、地元の人的資源だ。

 鈴木優人氏はオランダ生まれの調布育ち。父は調布在住の鈴木雅明氏で、バッハを中心にバロックの演奏で世界に知られる古楽合奏・合唱団「バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)」の創設者だ。雅明氏が音楽監督を務め、優人氏も属するBCJのメンバーが音楽祭を支える。

地元のアマチュア演奏家や音大生が参加

最終日の7月1日には、優人氏の指揮するBCJがモーツァルトの珍しい2作、オペラ「バスティアンとバスティエンヌ」と音楽付き喜劇「劇場支配人」を演奏会形式で上演する。「『劇場支配人』は仕事柄、私が主人公になってもいいドタバタ劇。ブラックジョークで締めくくる」と優人氏は意気込む。

もう一つの原動力は市内にキャンパスを構える日本屈指の私立音大、桐朋学園の関係者だ。指揮者の小澤征爾氏(卒業当時は短大)、バイオリニストの堀米ゆず子さんや諏訪内晶子さんら、国際コンクール優勝の音楽家を輩出してきた。雅明氏と優人氏の親子は桐朋学園と双璧を成す国立の東京芸術大学の出身だが、調布という場で両校の音楽人脈がつながった。

音楽祭では「桐朋学園大学学生・卒業生によるミュージックカフェ」と称した室内楽や器楽などの連続ミニ公演も催される。特に6月30日にはチェリストの山崎伸子さんが加わるブラームス「弦楽六重奏曲第2番ト長調」の演奏もある。著名な演奏家がさりげなく登場するほどに、桐朋学園OBの層の厚さを実感させる内容だ。

活躍するのはプロだけではない。6月30日と7月1日の両日には「市民音楽家によるオープンステージ」「市民音楽家によるウェルカムコンサート」も開く。オーディションに合格した地元のアマチュアや音大生が、オープンスペースや屋外広場で演奏し、道行く人々も楽しめる企画だ。

初日の6月24日、入場無料の「オープニング・セレモニー」がグリーンホールで開かれた。そこでも主役はアマチュアだった。調布北高校音楽部と調布南高校吹奏楽部、わが町調布合唱団が芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミーやプロ独唱者とともに優人氏の指揮でベートーベンの「交響曲第9番『合唱付き』より第4楽章抜粋」(近藤久敦氏の編曲による吹奏楽版)を演奏した。吹奏楽による新鮮な響きや、打楽器をはじめ高校生らの真摯な演奏が感動を呼んだ。

 オープニング・セレモニーでは桐朋学園大学非常勤講師で作曲家の新垣隆氏の「吹奏楽のためのディヴェルティンメント」も演奏した。ゴーストライター時代が長かった新垣氏について優人氏は「例の一件よりもずっと古くからの付き合い。今回の作品は非常に壮大で、迫力満点のゲーム音楽みたい」と評した。音楽祭の監修を務める雅明氏は「バッハやモーツァルトだけでなく、現代音楽も毎年必ず入れるようにしている」と語る。

東京近郊からも地方文化を発信する可能性

「国際」を名乗るだけの理由もある。海外から一流の演奏家も招いているのだ。今年の目玉は現代最高のバロック・バイオリン奏者といわれる英国のレイチェル・ポッジャーさん。7月1日にバッハ「シャコンヌ」を含む独奏リサイタルを開く。人気が高く、すでにチケットは完売した。

モンテヴェルディからマーラーまで幅広いレパートリーを持つ英国のソプラノ歌手ジョアン・ランさんは6月29日、優人氏のフォルテピアノ伴奏で歌曲のリサイタルを開催。BCJとの共演も多く、知る人ぞ知る実力派の歌手である。

「2人とも調布国際音楽祭に出演するために今回来日してくれる」と優人氏は胸を張る。欧州でも高い評価を受けるBCJの国際人脈が、一流の演奏家を招く原動力になっている。

「音楽以外の芸術との交流」でも様々な試みがある。中でもユニークなのは「ねんど職人」と「アイドル」を合わせて「ねんドル」を宣言しているエデュテインメントアーティスト、ねんドル岡田ひとみさんだ。7月1日に森下唯氏のピアノ演奏とともに「ねんドル岡田ひとみのミニチュア楽器をつくろう」を催す。こちらも話題を呼び、チケットは完売している。

今や日本でクラシック音楽祭は珍しくない。首都圏でも東京都八王子市の「八王子音楽祭」や川崎市の「フェスタサマーミューザKAWASAKI」などが挙がる。調布国際音楽祭は地元の人的資源や歴史・文化を活用しながら、コンパクトに手作りで企画・運営しているのが特徴だ。

ともすれば巨大都市・東京の周辺にすぎないとみなされがちな郊外の町。しかし東京近郊にも古い伝統文化が息づいている。「我々日本人は深大寺の(ような日本古来の)文化も、欧州から入ってきた西洋音楽も共有している」と鈴木雅明氏は指摘する。そこに「深大寺のモーツァルト」公演の意義もある。調布国際音楽祭は日本各地の市町村の文化振興にも示唆を与えそうだ。

(映像報道部シニア・エディター 池上輝彦)

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