グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

Food Selection

合戦地の市、明治のそば店、ウナギの洗い 中京食三昧 ふるさと 食の横道(1) 東三河編

2018/7/3

軽トラ市は生産者と消費者のお互いの顔が見え、会話しながら買い物を楽しむことができる

 宮崎県川南町、岩手県雫石町、愛知県新城市のものが「日本三大軽トラ市」と呼ばれている。市場好き。朝市好き。そして軽トラ市好き。ちょうど5月の第4日曜日に新城市で「しんしろ軽トラ市 のんほいルロット」が開かれる。行くべし。

 新城市は歴史愛好家にとっては外せない場所だ。この地で天正3(1575)年、織田・徳川連合軍と武田勝頼軍合わせて5万を超す将兵が激突し、戦国の雄、武田氏滅亡のきっかけとなった戦いが繰り広げられたからだ。

 2016年5月21日の午後に豊橋から飯田線に乗って新城に着く。駅からタクシーで設楽原(したらがはら)に直行した。細い川が流れていて一方の岸に馬防柵が復元されている。対岸から武田の騎馬軍団が突撃する。柵が騎馬の突進を阻み、織田・徳川連合軍の大量の鉄砲が火を噴く。「長篠合戦図屏風」に描かれたような戦闘が6時間も続いたという。

 決戦の前哨戦となったのが長篠城の攻防。天守閣は失われたが、城跡は深い緑に包まれて残っている。武田勝頼が本陣を構えた寺院の先に小高い山があって、長篠城を見張った櫓(やぐら)が復元されている。そこまで登ったキッチンミノルさんは、戻って来て「山と山の間に長篠城がはっきり見えます」と言った。

 死者を葬った場所には慰霊の塔が立ち、いまも住民によってお盆の時期に供養のための「火おんどり」という火祭りが営まれている。長篠・設楽原の戦いは遠い昔のことではあるけれど、新城の人々にとっては先祖が直接巻き込まれた戦であって、その記憶は消えずに引き継がれている。

今回が75回目の軽トラ市 地場産の新鮮な野菜や花、衣類、雑貨など多種多彩な品が並ぶ

 翌朝、軽トラ市の会場に行く。長さ500メートルの商店街を通行止めにして、軽トラックや軽自動車を使った77店が思い思いの品を並べている。トマトが赤い。メロンが黄金のように輝いている。五平餅が香ばしい。茶葉は「しんしろ茶」。浜名湖産のうなぎ白焼きが2匹パックで2500円から2700円。夏ミカンは3個100円。特大シフォンケーキには900円の値札がついている。

 中に精米を売る店があった。「龍の瞳」という銘柄の米が目に付いた。「コシヒカリの突然変異種です。米粒が大きいのが特徴です」。500円で小袋に入った龍の瞳を買う。「洗いすぎないように。漬け置きは不要。炊けたらすぐに炊飯器のスイッチを切ってください」と店の人が教えてくれた。どんなご飯が炊けるのだろう。楽しみだ。

グルメクラブ新着記事

ALL CHANNEL