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「サバ缶」日本とインドのカレーな競演 東京・経堂

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NIKKEI STYLE

サバ缶が注目されている。2017年にはツナ缶に代わり魚介類缶詰の売上高でトップに立った。調理のしやすさや栄養面からも人気が高まる。今回は意表をついたサバ缶料理が食べられる東京・経堂にあるインド料理店「ガラムマサラ」を紹介しよう。

2018年5月21日付の日本経済新聞夕刊によると、カツオの不漁でツナ缶が値上がりしたことを受け、サバ缶の消費量がツナ缶を抜いて首位になったという。サバ缶は割安でありながら栄養価も高く、サバ缶を使ったレシピにも注目が集まり、昨年からテレビの情報番組でも度々取り上げられている。サバ缶は今、食卓の新定番となりつつあるのだ。

そのサバ缶を、インド料理に昇華させたメニューが食べられるのが「ガラムマサラ」だ。メニュー名はずばり「saba-can」(480円、税別)。来店した人のほとんどが注文する人気メニューだ。 同店はインド・ムンバイ生まれのハサン・メハディさんが1997年に開店。メニューには珍しい創作スパイス料理が数多く並ぶが、それはハサンさんが1年の半分は旅に出ているほどの旅好きで、旅先で変わった料理に出合う度にアレンジして店のメニューに加えてきたからだ。

まず、saba-canを注文した。運ばれてきた料理を見てビックリ。これはまさしく「和印折衷サバ缶つまみ」だ。サバ缶の缶をそのまま器に使い、上にはたっぷりパクチーが盛られて、見た目にもインパクト大。スパイスのいい香りもふわぁっと漂ってくる。

サバ缶の中は、ほぐしたサバの水煮をオクラ、ゴーヤ、紫タマネギをいためて、クミンシード、クミンパウダー、コリアンダーパウダー、黒コショウ、塩で調味したもの。味わうと、サバのうま味とゴーヤの苦味、カレーのスパイシーさが混然一体となって驚きの味わいだ。はじめて味わう味で、スパイスもきいているのに、不思議と日本人好み。それに、サバの濃厚なうま味とスパイスのパンチに、ついつい酒が恋しくなる。「これはお酒に合いそうですね」と私が言うと「どんなお酒にも合いますよ!」とハサンさん。

saba-canはどのようにして誕生したのだろうか。これはハサンさんが日本に来て初めて作った料理だという。それも店をオープンする前に、自宅で作っていた料理がベースになっているのだとか。

30数年前、ハサンさんは大学院へ留学するために来日。大学院卒業後は会社員として働いていた。ガラムマサラをオープンする前は飲食業とは無縁だった。会社員時代の食事は外食ばかり。自分で料理を作る時間はないが、ちゃんとしたものを食べたいという思いがつのった。もともと魚が好きなハサンさんは定食店に入ると、焼き魚定食を選ぶほど和食にも親しんでいた。自宅でも魚料理を食べたいが、生魚を調理するのは大変だ。どうしたらいいだろうか。思案した結果、試しに買ってみたのが魚の缶詰だった。サバやイワシの缶詰を買ってきて、自分が食べたい味になるように味付けをあれこれ試してみた。故郷の母親に国際電話をかけて、レシピを教えてもらいながら試行錯誤の末に生まれた味がsaba-canのベースになったという。

ハサンさんが会社を辞め、店を始めたのは「自分が食べたい料理を出す店」を作りたかったからだ。当時はまだ東京にもインド料理店が少なかった頃。最初は故郷の母が作ってくれた味を再現し、徐々にハサンさんの創作スパイス料理も出すようになった。2002年ごろにはsaba-canもメニューに登場した。

ハサンさんの創作料理は日本の食材とスパイスを、うまく融合させているのも特徴だ。メニューの中から「和×インド」の創作料理をもう1つ紹介しよう。「梅野菜カレー」(1080円、税別)はその名のとおり、梅干しとたっぷりの野菜で仕上げたカレー。野菜の種類が多いのも魅力だ。カレーの中には野菜がゴロゴロ入っていて、なんともヘルシー。大根、カブ、トウガン、カボチャ、オクラ、ゴーヤ、パクチーなど、この時期の旬の野菜なら何でも使う。

こちらも1口いただいてみた。「トマトの代わりにペースト状にした梅干しを使いました」とハサンさんが言うとおり、梅の酸味がきいている。梅干し風味が梅雨時にピッタリだ。辛さは控えめで、あっさりさっぱり。今まで食べたことがない斬新な味なのに、どこか懐かしい。バターなどの乳製品は一切使わず、油も必要最低限しか使用しないから、サラッとしていて体に優しい味わいだ。このカレーなら毎日でも食べられそうだ。

ところで「ガラムマサラ」のある経堂はサバ缶と深い縁があるという。きっかけとなったのは東日本大震災だった。経堂にある「さばのゆ」というイベント酒場がサバ缶による町おこしを企画していたところに震災が起こったことから、被災した宮城県石巻市や缶詰メーカー「木の屋石巻水産」を商店街ぐるみで応援しているのだという。同店のsaba-canは震災以前からあったメニューだが、経堂と「木の屋石巻水産」とのつながりができてから木の屋のサバ缶を使うようになった。ただし、取材時はたまたま木の屋のサバ缶が品薄だったので、別メーカーのものを使用。

ここから新たに「ガラムマサラ」と木の屋石巻水産とのコラボレーション商品も誕生した。同店監修のラムカレーが缶詰になった「木の屋のラムカレー」だ。サバの缶詰は缶詰の中で熟成させることでおいしくなるそうだが、カレーも同じ。缶の中で熟成させることで味に深みが出る。逆にこの味を店で出そうとしても出せないのだとか。

さて、エスニック料理はだいぶ一般的になったものの、日本ではまだまだスパイスの使い方に慣れていない方も多いだろう。そこでハサンさんにスパイスビギナーでも挑戦しやすいスパイス活用術を聞いてみた。

「家庭料理にスパイスを使うならコリアンダー、クミン、チリパウダー、ターメリックパウダーの4つをそろえるといいでしょう。この4つさえあればどんなカレーでも作れますから」

「カレーには4つのスパイスをそれぞれティースプーン1杯ずつ入れるのが基本。あとは味見しながら好みでスパイスを増減します。チリパウダーとターメリックパウダーはあまり味がないのでベースは1杯ずつでOK。自分好みに味を変えるにはクミン、コリアンダーを少しずつ足して味見しながら好みの味にしていくのがおすすめです」

これから本格的な夏がやってくる。無性にカレーが食べたくなる時期でもある。上級者は家庭でも、ハサンさんおすすめのスパイスから作るカレーにも挑戦してみてほしい。ただ、実際にお店に足を運んで、多彩な創作スパイス料理とsaba-canを味わってみることをお薦めしたい。

(日本の旅ライター 吉野りり花)

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