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成年後見人の仕事って? 認知症などの人の財産管理

2018/7/1

良男 逆にいえば、それ以外は成年後見人が比較的裁量を持っているわけだね。

幸子 そうね。成年後見人は家裁に選任されると金融機関などに届け出て、その際に自分の取引印も登録するの。届け出印で本人の預貯金解約や株式の売却などができるわ。本人に代わって遺産分割協議もできるの。

良男 例えば、本人が相続対策のため生前贈与を続けていたとするよね。後見される側になっても成年後見人の判断で生前贈与を続けてもいいのかな?

幸子 それは難しいみたい。相続対策や相続税の節税は本人のためというよりも「相続人である家族の利益になる」というのが家裁の考え方だから、家裁が認めない可能性が大きいわ。

良男 話を聞いていると、成年後見人の仕事は決して楽ではないけど、こなし切れないものでもないみたいだ。ただ、利用しようとしても認知症になってからでは慌ててしまいそう。事前の対策はないのかな。

幸子 今まで話してきたのは判断能力が低下した後の対策で「法定後見制度」と呼ばれるわ。一方、「任意後見制度」といって認知症などで判断能力が低下する前にあらかじめ信頼する人と契約し、財産管理などを任せる仕組みがあるの。「このように世話をしてほしい」と具体的に任意後見契約に書いておけばいいわ。後見人を事前に指定できるのも利点よ。

■誰でも後見人になる可能性
司法書士 大貫正男さん
最高裁によると、成年後見制度の申し立ての動機は2017年分で「預貯金などの管理・解約」と「介護保険の契約」が合計で全体の約50%を占めました。施設入所など介護のために親の預貯金を解約するなど差し迫った状況に直面してから制度を利用する実態が表れています。
確かに成年後見制度は家族から見ると複雑な仕組みかもしれません。しかし、この制度は何よりも本人が自分らしく暮らすために支援する仕組みです。家庭裁判所は財産が主に預貯金だったり家族の間に相続対策などでもめ事がなかったりするような場合は親族後見人を選ぶことが多く、認知症患者の増加を考えると誰でも後見人になる可能性はあるのです。可能ならば本人の症状が軽度の段階から補助、保佐などの利用も考えてください。
(聞き手は後藤直久)

[日本経済新聞夕刊2018年6月27日付]

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