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Jリーグにタイ人観光客が熱視線 地元スター活躍で 「ガリガリ君」などスポンサー企業にも恩恵

2018/7/17

Jリーグが進めるアジア戦略ではタイやベトナムなど提携国の選手は外国人扱いにならず、クラブも外国人枠を使わなくて済む。日本人選手と同じ土俵で勝負できるため、実力をつけたアジア選手が来日するケースが増えている。

チャナティップ選手は「加入から2年目に入り、チームメートからの信頼も得て、ボールがどんどんもらえるようになった。タイの若手選手にも日本に来るだけで満足せず、これからが本番だと言っている」と話す。同選手は期限付きの移籍だったが、来シーズンからは完全移籍となる。

アジア戦略を進めてきたJリーグの村井満チェアマンは「インターネットを活用した普及策も海外のファン獲得に貢献している」と話す。

チャナティップ選手が札幌に加入して最初の練習をタイ向けにネット配信したところ、再生回数は300万回に達した。「札幌市の人口200万より多くの人が見た計算になる」と村井チェアマンは驚く。フェイスブックのタイ語のJリーグ公式アカウントのフォロワーは28万人で、日本語(21万人)を上回るという。

■タイ財閥との縁から大型商談

アジア戦略はクラブのスポンサーに新たなビジネスチャンスももたらしている。

ニチバンは5月、同社のばんそうこう「ケアリーヴ」をタイのセブンイレブンで発売した。セブンイレブンはタイに約1万店あり、ブランド力や販売力は現地の小売りチェーンでも高い。セブンイレブンとの取引が実現できたのもサッカーのおかげだ。

「他国のリーグと資金力で対抗しようとは思っていない」と話す村井チェアマン

ニチバンは17年、Jリーグ・FC東京のタイの若手選手育成プログラムのスポンサーになった。FC東京は、提携するバンコク・ユナイテッドFCから選手を受け入れている。そのバンコク・ユナイテッドのオーナーはタイの最大財閥チャロン・ポカパン(CP)で、セブンイレブンを運営するのもこのグループだ。

ニチバンの中村勲海外事業部長は「現地ナンバーワンのコンビニに入るだけの認知度は当社にはまだなかったが、サッカーを通じてリスペクトを得られた」と話す。CP一族であるバンコク・ユナイテッドのオーナーが来日した際にはサッカー観戦を通じて親密な関係を築けたという。地域密着を掲げるJリーグと異なり、アジアのサッカークラブ運営はオーナーの影響力が強く、それを生かした格好だ。

赤城乳業(埼玉県深谷市)も昨年末、コンサドーレ札幌と提携し、アイス「ガリガリ君」のタイでの広告にチャナティップ選手を起用することを決めた。

タイ企業がJクラブのスポンサーになる例もある。セレッソ大阪はタイでサッカー教室の開催を通じて親会社のヤンマーのアジアでの農機販売を支援してきたが、タイの「シンハービール」がスポンサーについている。日本企業を含む最上位ランクのスポンサーで、ホームゲームでシンハービールを販売している。

アジアを見渡せば、高額の給与で欧州や南米の有名選手を引き抜く中国や中東諸国、競技力の高い韓国などとのリーグ間競争も激しい。村井チェアマンは「他国と資金力で対抗しようとは思っていない。若手選手の育成や健全なクラブ運営など、Jリーグが持つ強みを生かしたい」と話す。観光客や企業交流など波及効果をもたらしながら、東南アジア諸国の理解と尊重を得られる道を模索している。

(安西明秀)

[日経電子版2018年6月27日付を再構成]

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