仕事離れた時間が仕事に生きる 苦しい時は心に従う
トッパンマインドウェルネス代表取締役 岩崎玲子氏
岩崎玲子・トッパンマインドウェルネス代表取締役
管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。女性管理職が交代で執筆します。今回は、トッパンマインドウェルネス代表取締役の岩崎玲子氏。4月に続き、2回目の登場です。
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私は30代で社内ベンチャーを起こし、親会社の支援を受けながら全力疾走してきました。しかし、40代は事業が思うようにいかず、苦しい日々が続きました。
新規顧客開拓が進まず、新たに始めたコンサルティングサービスも売れません。自分から事業を始めるということは組織を飛び出すことでもあり、次第に誰にどう相談してよいかわからなくなります。何とかしなければと思っても打開策も浮かばず、暗く長いトンネルに入ったような時期が5年以上続きました。
何とか現状を抜け出したいと思い、50歳を前に仕事から離れる時間をつくることにしました。おぼろげに関心を持っていた福祉関係のセミナーやボランティアに参加したのです。これまで考えなかった社会課題に触れ、普段話す機会がない人の話を聴くことで、色々と考えさせられました。
自分の心持ちも変化しました。例えば事業がうまくいかないときは何となく距離を感じていた同僚に対しても、何か役にたてないかと考えるようになりました。事業面でゆとりがあるわけではないのですが、心にゆとりが生まれたような感覚です。話の幅も広がり、次第に社内外からお声がけいただく回数が増え始めました。
こうした経験から、自分の興味・関心から得た学習や人脈は、仕事から切り離しても、実は仕事に生きることが多いのではないかと思います。
最近「男性学」の本を読んだのですが、世の中の男性がいかに社会規範に縛られているか考えさせられました。その本によると、男性は一家を支えるべきだという考えがまだ一般的で、男性がパートやアルバイトをしていたり、専業主夫などの立場で日中家にいたりすると白い目でみられることがあるそうです。