自転車や物品事故… 賠償責任保険は長生き時代に必須長生き時代の保険の選び方(4)

日経マネー

写真はイメージ=123RF
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住まいを失う経済的ダメージも大きいが、もう一つ、超高齢社会になるが故に高まるリスクがある(前回記事「契約切れ・地震・水害… 自宅の保険に問題はない?」はこちら)。それは事故。高齢者ドライバーによる自動車事故の報道も相次いでいる。事故を起こしてしまい賠償金が必要になってしまったなど長生きする上で「予測できない支出が最も怖い」(FPの井戸美枝さん)。しかも、いざ賠償が必要になった場合に、億単位に上る高額なお金が必要になることもある。「住んでいる家を失う以上の経済的ダメージをもたらす可能性もあるのが事故による多額の賠償」とFPの清水香さんは指摘する。

(イラスト:タケウマ)

自動車を運転するのであれば自賠責保険への加入が法律で義務付けられているが、補償範囲や補償額は限定的。対人、対物賠償などの任意保険に加入して備える必要がある。

備えを怠りがちなのが自転車による事故だ。昨今は自転車事故によるケガでも賠償金が高額になり、判例では1億円近い賠償額の支払いが命じられたものも。もし小さな子供や、認知症の親が事故を起こした場合は、監督義務者である自分や家族が責任を問われることになる。このような事故を引き起こしてしまった場合に備えることができるのが「個人賠償責任保険」だ。

■保険金額はなるべく多く

個人賠償責任保険は、過失により日常生活で起こった事故で、他人に危害を及ぼした、他人の所有物を破損したなどで法律上の賠償が必要になった場合に補償する保険。前述のように自転車に乗っていて相手にケガをさせてしまった、子供が隣家のガラス戸を割ってしまった、などの日常的な事故も対象になる。

加入しておけば想定外の事故で生じた様々な賠償に対応できる保険だが、加入する方法は色々だ。自動車保険に付帯して入ることもできれば、火災保険や共済につけることも可能。中にはクレジットカードに付帯していることもある。まずは加入している各保険に付帯されているか確かめよう。もし何にも加入していなければ、各種保険の更新時に改めて加入の検討を。「保険料は月額当たりにすれば数百円程度の上、保険金額によって保険料が大幅に変わるわけでもない。保険金は最大額で契約するのがお勧め」(FPの竹下さくらさん)という。

加えて注意したいのが、示談交渉のサービスがついているかどうか。「事故を起こした場合の示談交渉は、個人では難しい。そのサービスがついている保険への加入を」(竹下さん)。さらに「個人賠償責任保険は、保険会社によって補償範囲の判断に若干の違いがある。自分がどういったリスクを想定し、その補償をカバーしているのか事前に確認しておく方がいい」とFPの畠中雅子さんはアドバイスする。

この保険は加入しておけば対象は本人だけではなく、配偶者など同居する家族、別居している未婚の子にも及ぶ。このため子供や高齢の親が自転車で事故を起こし相手にケガを負わせてしまった、という場合も補償の範囲になる。昨今では地方自治体によって自転車保険への加入が義務付けられている場合もある。また一部では認知症の出歩きによる事故に備え、申請した住民には自治体が保険料を負担して個人賠償責任保険に加入する制度を持つ場合もある。自分が住んでいる地域がどうなっているかを調べるのも忘れずに行いたい。

また自転車による事故の賠償は個人賠償責任保険で賄えるが、自分がケガをした際の治療費は、この保険の対象外だ。高齢になったら自転車での移動を想定している、という人で賠償のリスクだけでなく自分のケガにも備えたい場合は、単体の自転車保険が便利だ。こちらも保険料は年間1万円に及ばないものが多くなっている。

(日経マネー 佐藤由紀子)

[日経マネー2018年7月号の記事を再構成]

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著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
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