スニーカー通勤に代表される、スマートな仕事スタイルが浸透する昨今、仕事鞄にもデイパ(デイパック)のように背負える「ショエル」仕事鞄が増えている。紳士たるもの、常にブリーフケースを片手に……というストイックな価値観もいいが、ビジネスカジュアルの軽装時こそ、両手が空く便利さや、気負わぬ楽しさを体感しては。機能とスタイルから選ぶ「ショエル仕事鞄」の快適さ、一度知ったら手放せなくなるかも?
01. 背負える万能型は「まずTUMIから」探すべし
機能性に優れる仕事鞄のパイオニアといえば、米国発のトゥミ。ショエル仕事鞄でもその実力は遺憾なく発揮され、PCの持ち運びはもちろんのこと、様々なシーンを想定した機能を多数搭載した鞄が、バリエも豊かに展開。どのモデルを選んでも、万能の対応力がある。
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■TUMI/トゥミの「アルファ2 スリム・スリーウェイ・ブリーフ」
濡れた傘から資料まで収納力抜群
収納の多彩さが冴え渡る3way鞄は、ヘリテージを継承する“アルファ 2”コレクション。メイン室は間仕切りによって大きく2つに分けられ、書類を分類して収納可能。パッド入りのタブレットホルダーを備えているほか、前面にはライニングに防水加工を施したポケットもあり、折り畳み傘の収納に至るまで配慮されている。究極のマルチユースを求めるならコチラ! 縦29×横40.5×マチ9cm。1.7kg。6万円(トゥミ・カスタマーセンター)
■TUMI/トゥミの「ハリソン バックパック・トート」
背負いも、手持ちも、トロリー連結もOK
モダンなスタイルが魅力の“ハリソン”コレクションより、高密度のなめらかなナイロンを用いた新作。程よく力の抜けたルックスは、ジャケパンやクールビズの軽装に相性満点だ。背面をトロリーへ連結できる仕様は右や左のブリーフも備えているが、トートでこれができるのは珍しい。出張や旅行など幅広い用途をカバーする、トゥミらしいモデルだ。6月中旬発売予定。縦41×横41×マチ13cm。1.8kg。5万8000円(トゥミ・カスタマーセンター)
■TUMI/トゥミの「アルファ ブラヴォ『マウンテン』 スリーウェイ・ブリーフ」
専用ポケットからPCを素早く出し入れ
ソフトコンストラクションの「アルファ ブラヴォ」コレクション。レザーコンビの素材使いやガンメタルパーツのあしらいに都会的な趣が漂う。背面側に配したPC収納はL字に開閉でき、タブレット用のポケットも完備。ガジェットの出し入れに重きを置く人にはうってつけの鞄といえよう。ビジネス用なら黒を選ぶ人が多いだろうが、その場合はネイビージャケットのトーンをやや明るめにするなど、全身が暗くならないようにしたい。縦28×横40.5×マチ14.5cm(ファスナーの開閉で約5cm伸張可)。1.7kg。6万6000円(トゥミ・カスタマーセンター)
ジャケット8万6000円/タリアトーレ(トレメッツォ) シャツ2万3000円/ハケット ロンドン(ハケット ロンドン 銀座) パンツ2万2000円/ジェルマーノ(伊勢丹新宿店)撮影協力=丸の内ブリックスクエア 三菱地所
02. タフで実用的なのは、やっぱりナイロン(2way & 3way)
軽さやケア、タフさといった実用面を考えれば、ショエル仕事鞄もやっぱり、ナイロンベースの製品が使いやすい。他にない便利な機能を持った鞄が充実するのも、このカテゴリーの魅力だ。確かな個性を備えつつ、気負わずに付き合える名作をチョイス。
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■ANDREA ROSSI/アンドレア ロッシの「ARデザイン 3way バックパック」
光沢系ナイロンは見た目も爽やか
創業は1894年という伊の老舗ファクトリーが手掛けるブランドより、高密度ナイロンを素材に用いたコンビ鞄だ。リモンタ社製のそれとあって、風合いはしっとりとして艶やか。上品かつスポーティなルックスで、機能系のセットアップスタイルにも馴染みがいい。軽やかさもあるため、クールビズにも映えるだろう。設計はシンプルだが、メイン室は3方がジップで開き、縦横どちらからも開けやすい。内部には簡易的なPCホルダーが付属。スタイルと機能性、双方のバランスに優れるショエル仕事鞄だ。縦29×横40×マチ16cm。1.3kg。3万9000円(阪急メンズ東京)
ジャケット1万9000円、パンツ1万1000円/以上ユニバーサルランゲージ(ユニバーサルランゲージ 渋谷店) ポロシャツ1万3000円/(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店)■FORME LA VRAIS FORME/フォルメ ラ ヴレ フォルムの3way ブリーフケース
仕分け力に優れてます
タフなビジネス仕様でありながらどこか柔かな雰囲気が漂う、メイド・イン・ジャパンのコンビ鞄だ。背面には独立してPC収納を配置。フロントの収納にはストラップ付きのレザーポーチが付属し、こちらは小物ポーチとして単体で使用することもできる。アウトポケットの出っ張りがないスマートな造形とは裏腹に、仕分けもお手の物なのだ。縦31×横42×マチ13cm。1.5kg。3万8000円(ヤマニ)
ジャケット13万円、シャツ3万円/以上ルイジ ボレッリ(バインド ピーアール) パンツ1万3800円/ユニバーサルランゲージ(ユニバーサルランゲージ 渋谷店)■FELISI/フェリージの「1735/DS」
シンプルゆえの軽さも魅力
しなやかな高密度ナイロン×バケッタレザーからなる、フェリージらしい気品を纏ったモデル。一般的な3way鞄と同様、背面にショルダーストラップを仕舞える構造を備えるが、メイン室やフロントのポケット内に小分けの収納はなし。後は自由にお使いください、という設計思想もまたココらしい。それゆえ軽量なのも大きな魅力だ。縦30×横42×マチ10cm。1kg。9万3000円(フェリージ 青山店)
ジャケット9万円/ソブリン(ザ ソブリンハウス) シャツ3万4000円/ルイジ ボレッリ(バインド ピーアール) パンツ1万6000円/ユナイテッドアローズ(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店)
■ENGAGEMENT/エンゲージメントの「EGBF-014」
斬新な斜め掛けで扱いやすい
ワンショルダーで斜めに背負える、仕事鞄としては珍しいタイプの2way鞄だ。正面に配された横一線のジップポケット内には、スマホやパスケース、ペンなど、頻繁に出し入れするアイテムの収納に便利な小ポケットを装備。鞄をクルッと体の前に回せば、鞄を下ろさずともこれらの収納へアクセスできる。電車やタクシーなど乗り物での移動時も前に回してしまえば、手へ持ち替えずに済むのも地味に便利。アクティブな見た目も持ち味で、ジャケパンの装いも写真の通り軽快な印象に。縦28×横41×マチ10cm。1.1kg。4万8000円(キヨモト NC事業部)
ジャケット6万5000円/シップス(シップス 銀座店) シャツ2万5000円/ヴィナコーレ(伊勢丹新宿店) パンツ1万3800円/ユニバーサルランゲージ(ユニバーサルランゲージ 渋谷店)■ZERO HALLIBURTON/ゼロハリバートンの「3way ビジネスバッグ PRF3.0」
スーツケースのようにフルオープンも可能
大胆な切り替えが目を惹くモデル。前面の4隅はダーツによって丸く処理され、これが無機質になりがちな多機能鞄にさらりとフランクな趣をもたらしている。2つのメイン室は3方をガバッと大きく開口でき、縦からも横からもアクセスしやすい設計。PCホルダーとは別に、タブレット用のポケットも備える。縦30×横43×マチ10cm。1.7kg。5万3000円(ゼロハリバートン カスタマーサービス)
■PORTER/ポーターの「ポーター クラウド 3way ブリーフケース」
耐水ナイロンで梅雨時も安心
ピアノ線のフレームを入れることで、保形性を高めつつ軽量化を図ったシリーズ。ボディにはコーデュラRナイロンオックスの表面にTPU(熱可塑性ポリウレタン)加工を施した耐水素材を使用。縦横どちらからも開けやすい、斜め配置のファスナーポケットも止水仕様で、雨天時の使い勝手に配慮している。傷や汚れに強く、ケアが簡単なのも嬉しい。1.2kg。縦30×横40×マチ12.5cm。3万7000円(吉田)
03. フルレザーが一番、きちんと見える
より端正な見映えの“ショエル仕事鞄”が好みなら、ズバリ、リッチなフルレザー製を狙うのが正解だ。ここに紹介するような、ブリーフケースとしての用途に比重を置いたモデルなら、秋以降に正統派スーツを纏ったときも、品よくスマートに持てる。
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■ALFIE DOUGLAS/アルフィー・ダグラスのブリーフケース
背負える鞄も、フラップ付きが一番クラシカル
英国ロンドンの工房でハンドメイドされるクラシックなフラップ付きブリーフながら、付属ストラップのつけ方でバックパックやショルダーとしても使える秀逸作。とくに背負ったときは外国のスクールバッグ的見た目となり、新鮮かつキャッチーな後ろ姿に。使用する伊製レザーは昔ながらの植物タンニンなめしで製革されており、使うほどに味わいが増す。縦25×横40×マチ7cm。1.4kg。8万5000円(ヴァルカナイズ・ロンドン)
ジャケット4万5000円/ユナイテッドアローズ(ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店) ポロシャツ2万6000円/ジョン スメドレー、パンツ3万7500円/インコテックス(以上シップス 銀座店) 靴7万6000円/クロケット&ジョーンズ(グリフィンインターナショナル)■PELLE MORBIDA/ペッレ モルビダの3wayブリーフケース
型押しレザーは背負ってもナチュラル
比較的かっちりした作りだが、波をイメージしたオリジナルの型押しレザーと、角を丸めたフォルムがマッチし、程よく柔和な雰囲気に。今どきのソフトな仕立てのスーツやジャケットに抜群の相性を見せてくれる。大きく開く開口部や、縦・横に装備したハンドル、PCやタブレット収納を意識したウレタン内蔵のクッションポケットなど、細部まで行き届いた設計もさすがだ。縦29×横40×マチ9cm。1.3kg。6万2000円(ウエニ貿易)
ジャケット6万4000円/シップス(シップス 銀座店) シャツ9800円/ユニバーサルランゲージ(ユニバーサルランゲージ 渋谷店) パンツ2万6000円/ジェルマーノ(伊勢丹新宿店)■DEUX MONCX/デュモンクスの3wayブリーフケース
背負っても、持っても落ち着きアリ
国産ブランドらしい端正かつ機能的なモデルを得意とするデュモンクス。今作が採用するしっとりと柔らかな風合いのレザーは、表面に繊細なシボ加工が施され、深いグリーンと相まってじつにエレガントな佇まい。ストラップにも同素材が用いられ、床置きできるように底鋲がついているのも大人の仕事鞄に相応しい。ストラップはパッド入りで、着用感がソフトなのも嬉しい。縦28×横38×マチ8cm。1.6kg。5万6000円(伊勢丹新宿店)
ジャケット8万5000円/ハケット ロンドン(ハケット ロンドン 銀座) シャツ2万2000円/バグッタ(トレメッツォ) パンツ2万8000円/ジェルマーノ(バインド ピーアール)■HERGOPOCH/エルゴポックの3wayブリーフケース
丸いシェイプが愛らしい
丸みの強いフォルムに加え、コンパクトなサイズにより、どこか愛らしい雰囲気を醸し出す定番3wayモデル。グロッシーな光沢に富んだオリジナルのグレイズドレザーも洒脱に見えるポイントで、軽快な仕事スタイルを好む方には最適だろう。どの持ち方をしても小物の出し入れがしやすいよう斜めに配した外装のオープンポケットも、シンプルなデザインにリズムを生んでいる。縦26×横36×マチ8cm。1.1kg。4万9000円(キヨモト NC事業部)
ジャケット9万2000円/ヴァルディターロ(シップス 銀座店) シャツ3万8000円/バグッタ(トレメッツォ) パンツ2万9000円/ジェルマーノ(バインド ピーアール)※表示価格は税抜きです。
撮影/渡辺修身〈人物〉、若林武志〈静物〉 スタイリング/四方章敬 ヘアメイク/古川 純 文/秦 大輔、吉田 巌(十万馬力)
[MEN’S EX 2018年7月号の記事を再構成]
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