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「ムサビ」、都心で勝負 旗振り役は元出光の剛腕社長 武蔵野美術大学の天坊昭彦理事長に聞く

2018/7/1

武蔵野美術大学の天坊昭彦理事長

村上龍氏、みうらじゅん氏、リリー・フランキー氏――。絵画や造形にとどまらず個性豊かな人材を輩出してきた武蔵野美術大学が、建学以来ともいわれる改革を進めている。2019年4月には新たに「造形構想学部」を開設。それにあわせて都心にキャンパスを構え、産業界への人材供給に力を入れる。旗を振るのが、石油大手の出光興産出身の天坊昭彦理事長だ。創業家を説き伏せ、タブーといわれた株式上場を果たした「剛腕経営者」は、改革路線で歩調を合わせる長沢忠徳学長とタッグを組み、どんな大学像を描こうとしているのか。

■市ケ谷駅近くのビルをキャンパスに

「とにかく思い切って新しいことをやれ、とハッパをかけている」。天坊氏は来春スタートする造形構想学部に大きな期待を寄せる。

「ムサビ」の愛称で知られる武蔵野美大は1929年に開学した帝国美術学校が前身だ。62年に4年制大学として現在の校名に変更すると同時に造形学部を設置。建築学科、映像学科など時代に合わせて学科を11まで増やしてきたが、学部は1つだけだった。今回の造形構想学部は同大にとって初の学部増設となる。

新学部は新たに設置するクリエイティブイノベーション学科(定員76人)と、造形学部から移設する映像学科(同)の2つの学科からなる。独自の造形教育と教養教育によって育む「創造的思考力」を実社会にどう応用していくか、具体的な実践方法を教えていく。新学科の3~4年次のキャンパスは、JRや東京メトロの市ケ谷駅(東京都新宿区)にほど近い8階建てのビルで、ソニー・ミュージックエンタテインメントから買い取ったばかり。都心の立地を生かした企業との連携強化が、最大の特色だ。

これまでも、ミズノと協力した子供向けスポーツイベントや、第一屋製パンのパッケージデザインなど産学連携には力を入れてきた。「都心に拠点を置くことで、校舎内に企業との共創スペースを設けたり、企業からの研究生を受け入れたり、様々な可能性が広がる。最新のIT(情報技術)を使った映像、通信などの共同研究もやりたい」。天坊氏は構想の一端を明かす。

外部にオープンな姿勢は入試にも共通する。新学科は同大では初めて、入学定員の全員にデッサンなどの実技を課さない。「美大向けに専門の勉強をしなくても入れるようにし、一般の大学を志望する受験生を振り向かせたい。造形は入学後でも十分学べる」。美大に対する固定観念を取り払い、多様な可能性を持つ人材を集めたいと力を込める。

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