N
Men's Fashion
ひと

クラシコこそが至高 フィレンツェ、スーツ職人の矜持

2018/9/24

ひと

フィレンツェにある「サルトリア・セミナーラ」の店主、ジャンニ・セミナーラさん
フィレンツェにある「サルトリア・セミナーラ」の店主、ジャンニ・セミナーラさん

はやり廃りが激しいファッションの世界。その中心のひとつ、イタリア中部の古都、フィレンツェにトレンドとは一線を画し、スーツ作りにいそしむサルト(仕立て職人)がいる。頑(かたく)なに伝統的なスタイル(クラシコ)にこだわるジャンニ・セミナーラさん(63)だ。

ジャンニさんが営む「サルトリア・セミナーラ」は、フィレンツェのシンボル「ドゥオーモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)」の裏手にある。表に看板が出ているわけでもなく、古めかしい建物の一室が店舗兼工房だ。

足踏みミシンなどがあるジャンニさんの仕事場

創業は1957年。イタリア半島の「つま先」部分にあたるカラブリア州出身の父親が、フィレンツェでサルトリア(仕立屋)を始めた。ジャンニさんは2代目で、サルト歴は30年近い。アシスタントに一部、作業を手伝ってもらってはいるが、カッティングやフィッティングなど大半の作業は一人でこなす。

■仕立てられるスーツは、せいぜい年間80着

仕立てるのは基本、スーツのみ。朝8時半から作業を始める。縫い込み作業に要する時間は上着で50時間、パンツが20時間。だから「年間でできるスーツはせいぜい80着」(ジャンニさん)。近年はイタリアだけでなく、海外の顧客も増えている。ジャンニさんは東京と大阪で年2回、オーダー会を開いていることもあり、日本人の顧客も抱える。

一針一針、たっぷりと時間をかけてスーツを仕立てる

店には父親が集めた1920年代当時のイギリスのファッションカタログ類が資料として残る。ジャンニさんの仕立ての流儀はそんな資料に準じた「流行に左右されない伝統スタイル」。ワキを絞り、シルエットは美しく均整のとれたフォルム――。父親の代から変わらず引き継いできたものに他ならない。

SUITS OF THE YEAR 2020
Watch Special 2021
Instagram