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日揮の石塚忠社長

日揮の石塚忠社長

日揮は2013年1月16日、アルジェリアで社員を含む日本人関係者10人が殺害されるという衝撃的な事件に巻き込まれた。当時副社長だった石塚忠氏は現地へ飛んで遺体を引き取るなどし、帰国後は危機管理対策に奔走した。そもそもプラント工事は極寒の地や炎熱の砂漠、ジャングルといったへき地の仕事が多い。過酷な現場で関係者をまとめ、緻密に仕事をやり遂げるための資質とは何かを聞いた。(前回の記事は「現場一筋『俺はごまかせない』 日揮鍛える出戻り社長」

社員の安全が最優先

――アルジェリアの事件では現地に向かわれたそうですね。

「亡くなった社員5人のうち4人が私の直属の部下で……。一番つらい出来事でした。出張中で米ヒューストンにいたのですが、一報を聞いてすぐに帰国し、特急でビザを発行してもらいました。最後のご遺体を確認するまでは帰国しない覚悟で現地に向かいました。最後の1人が見つからず苦労しましたが、指輪が決め手になって、ご本人と特定することができました」

「帰国後すぐセキュリティ対策室を本部に格上げして、社員も増員し、海外の軍隊出身者など専門家も雇用して強化しました。当社は多くの日本企業に先駆けて1960年代から海外事業をやっていますから、安全対策には力を入れていましたが、あの事件だけは想像を超えていました。入札などがあると専門の社員が現地で調査をして、危険だと判断した場所では、もう仕事は止めさせています。社員の安全が最優先です」

――テロの危険はなくとも、日揮の仕事は過酷な現場が多いと聞きます。行くのをためらう社員はいませんか。

「最近の若者は内向きだともいわれますが、当社には海外志向を持つアグレッシブな若者が毎年入社しています。それでも結婚してから奥さんに言われて悩む人が多いようです。私は社員に対して、極力家族を連れて行けと話しています。私生活がよくないと仕事にも影響が出ます。家族を帯同させると経費ばかりかかると批判する人もいますが、結果的には歩留まりが良くなると思っています。私自身もマレーシアやタイなどに家族を連れて行きました。休日は家族と過ごし、気分転換になりました」

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