ゼラチン美肌スープ 野菜合わせコラーゲン吸収アップ
実に9割以上が、美肌成分「コラーゲン」だというゼラチン。そのゼラチンと、コラーゲンの吸収を高めるビタミン豊富な野菜とを組み合わせたスープで、潤い肌を手に入れることができる。
肌の土台を作る成分「コラーゲン」。潤いや弾力のアップ、シワ改善などの美肌効果が知られているが、このコラーゲンの塊といえるのがゼラチンだ。「吸収力を高めたコラーゲンサプリほどではないが、ゼラチンは手ごろな価格で、サプリと同等の美肌効果が期待できる」と新田ゼラチン総合研究所の長谷篤史さんは話す。
だが、サプリに比べると、ゼラチンではコラーゲンを大量にとりづらい。そこでお薦めなのが、美肌作りに役立つ2つのビタミン、CとB6をゼラチンに組み合わせてパワーアップさせたスープだ。「ビタミンCはコラーゲンを組み立てる工具のような役割を持つ」と、ニッピでコラーゲンの研究を行う楠畑雅さんは話す。
「口に入れたコラーゲンは、すべてアミノ酸に分解・吸収されるのではなく、アミノ酸がつながったペプチドの形でも吸収される。そのペプチドが、コラーゲン合成のスイッチとなることがわかってきた。この再びコラーゲンが合成される際に必要なのが、ビタミンC」とコラーゲンに詳しい城西大学薬学部医療栄養学科の真野博教授。
一方、ビタミンB6は、肌や髪の毛、爪など、古くなった細胞が再生するのを助ける役割を持つ。これら3つの成分を余すことなく「ゼラチン美肌スープ」でとろう。
ゼラチン料理に詳しい料理家の西山京子さんによると、「ゼラチンの原料は牛骨や豚皮。スープに入れると、だしの役割となり、コクが増す」というメリットがあるという。ただ、「入れすぎると臭みが出てしまうため、2食分に粉ゼラチン2.5~5g程度がいい」(西山さん)。そこで、この最強コンビのスープのレシピを紹介する。
コラーゲンを生かすゼラチン美肌スープとは?
ゼラチンに含まれる「コラーゲン」と、コラーゲンが体内で使われる際に必要なビタミンC・B6が豊富な野菜のスープ。2食分に5gの粉ゼラチンを投入。1日2杯で美肌をサポートする。ビタミンC・B6が溶け出たスープはすべて飲み干そう。
ゼラチンは、牛骨や豚皮、魚鱗などが原料で、9割以上がコラーゲン。加熱し精製したものだが、冷やすと固まるため、お菓子作りなどに使われる。なお、コラーゲンサプリに使われるコラーゲンペプチドは、体内での吸収を高めるためゼラチンを短く切ったもの。
【ビタミンC】コラーゲンの合成に不可欠
体内でコラーゲンが合成される際に不可欠なビタミン。また、シミのもとであるメラニン色素の合成を抑える役割も。赤・黄ピーマン、サツマイモ、ブロッコリー、トマト、ジャガイモなどの野菜に豊富に含まれる。
【ビタミンB6】肌や髪の再生を助ける
皮膚や髪の毛、爪などの細胞が新たに生まれるのを助ける。肉や魚に豊富だが、果物や、レンコン、赤・黄ピーマン、豆苗、ニンニクなどの野菜にも豊富に含まれる。
1日2杯で美肌に! ゼラチン美肌スープレシピ~中華からイタリアンまでアレンジ
ゼラチンに含まれるコラーゲン、コラーゲンの合成に不可欠なビタミンC、肌の再生を助けるビタミンB6がたっぷり。スープまで飲み干せば、潤い肌に!
牛・豚・魚のどれにする? 味付けに合わせてゼラチンを選ぼう
ゼラチンの原料は、牛、豚、魚。「原料によって風味が違うので、使い分けをするとよい」(新田ゼラチン総合研究所の西博史さん)。コンソメやブイヨン、牛由来の原料を使うスープには牛、豚骨スープには豚が原料のものが合う。魚はゼリーなどすっきりした味の料理に向く。
【牛由来】コンソメやブイヨンのスープにマッチ
【豚由来】豚骨や鶏ガラを使ったスープにマッチ
【魚由来】ゼリーなどすっきりした味わいのものに
根菜と豆苗のピリ辛豆乳スープ
ゼラチンでスープに深みを加えた、ピリ辛豆乳スープ。1杯でビタミンC、ビタミンB6の1日推奨量の3分の1が摂取できる(*『日本人の食事摂取基準(2015年版)』では、18歳以上の成人女性の1日推奨量としてビタミンCは100mg、ビタミンB6は1.2mgと定められている)。
●1人分 熱量 334kcal、たんぱく質 11.1g、ビタミンC 99mg、ビタミンB6 0.58mg
●主なビタミンB6・C源(レンコン、豆苗、サツマイモ)
材料(2食分)
サツマイモ 200g(中1/2個)
レンコン 150g(1節)
豆苗 100g(1袋弱)
長ネギ 100g(小2本)
ニンニク 3g(1片) ショウガ 5g(1片) 豆乳(無調整) 200ml 豆板醤 小さじ1 酒 大さじ2
水 200ml
油 大さじ1
塩 少々
砂糖 小さじ1
塩 小さじ1/2
粉ゼラチン 5g
作り方
(下準備)
・サツマイモとレンコンは0.8cm幅のいちょう切りにする。水でさっと洗い、水気を切る。
・豆苗は根元を落として、半分に切る。
・長ネギ、ニンニク、ショウガはみじん切りにする。
1 鍋に油、長ネギ、ニンニク、ショウガ、豆板醤を入れて中火で熱し、長ネギがしんなりとするまで炒める。
2 サツマイモ、レンコン、塩を入れてさらに炒め、油が回ったら酒、水を注いで蓋をして中弱火で6~7分煮る。3 野菜に火が通ったら、豆乳、Aを入れ、味を見て塩を追加し、豆苗を入れて蓋をして1分ほど弱火で煮る。
フレッシュトマトミネストローネ
ゼラチンとベーコンがだしとなり、生トマトで仕上げるさっぱり味のミネストローネ。野菜の水分を利用するので、水は最小限に。
●1人分 熱量 281kcal、たんぱく質 8.4g、ビタミンC 96mg、ビタミンB6 0.52mg
●主なビタミンB6・C源(トマト、ジャガイモ)
材料(2食分)
トマト 400g(中2個)
ジャガイモ 200g(中2個)
タマネギ 100g(中1/2個)
キャベツ 150g(中1/5個)
ベーコン 30g(2枚)
ニンニク 3g(1片)
白ワイン(または酒) 大さじ2
オリーブオイル 大さじ1
水 100ml
砂糖 小さじ1
塩 小さじ1/2
粉ゼラチン 5g
塩・コショウ 各少々
作り方
下準備
・トマト、ジャガイモ、タマネギ、キャベツは、1cm角に切る。ニンニクはみじん切りにする。
・ベーコンは1cm幅に切る。
1 鍋にオリーブオイル、ニンニクを入れて中火で熱し、ベーコン、ジャガイモ、タマネギを入れて炒める。
2 キャベツ、トマト、塩(少々、分量外)を入れてさっと炒め、白ワイン(または酒)、水を注いで蓋をして中弱火で7~8分煮る。
3 野菜に火が通ったらAを入れ、味を見て塩・コショウで味を調える。
ブロッコリーと卵の中華風スープ
ゼラチン、ゴマ油、ニンニク、ショウガでパンチのある中華味に仕上げたスープ。1杯で1日推奨量のビタミンC(100mg)が摂取できる。
●1人分 熱量 219kcal、たんぱく質 11.5g、ビタミンC124mg、ビタミンB6 0.38mg
●主なビタミンB6・C源(赤ピーマン、ブロッコリー)
材料(2食分)
ブロッコリー 150g(1/2個)
赤ピーマン 100g(2個)
長ネギ 50g(中1本)
卵 2個
ニンニク 3g(1片)
ショウガ 5g(1片)
酒 大さじ2
水 350ml
ゴマ油 大さじ1
みりん 大さじ1
醤油 小さじ2
オイスターソース 小さじ1
粉ゼラチン 5g
塩 少々
作り方
下準備
・ブロッコリーは芯と花蕾に分ける。芯は硬い部分を落として食べやすい大きさに切り、花蕾の部分は小房に分ける。
・赤ピーマンは短冊切りに、長ネギは輪切り、ニンニクとショウガはみじん切りにする。
1 鍋にゴマ油、ニンニク、ショウガを入れ中火で熱し、ブロッコリーを入れ炒める。
2ブロッコリーに油が回ったら、赤ピーマン、長ネギ、塩を入れ炒める。酒、水を注いで蓋をして中弱火で4分ほど煮る。
3 野菜に火が通ったら、Aを入れて塩で味を調え、卵を落とし入れて蓋をして2分ほど弱火で煮る。
カラフルピーマンのジュレスープ
冷やすと固まるゼラチンの特性を生かした、とろとろの冷製ジュレスープ。赤、黄色のピーマンはパプリカでも代用可能。
●1人分 熱量 58kcal、たんぱく質 3.5g、ビタミンC 71mg、ビタミンB6 0.17mg
●主なビタミンB6・C源(赤ピーマン、黄ピーマン)
材料(2食分)
赤ピーマン 40g(1個)
黄ピーマン 40g(1個)
青ピーマン 40g(1個)
だし汁 250ml
酒 大さじ1
みりん 大さじ1
薄口醤油 大さじ2
塩 小さじ1/3弱
粉ゼラチン 5g
水 大さじ1
作り方
下準備
・赤ピーマン、黄ピーマン、青ピーマンは粗みじん切りにする。
・Bを合わせてゼラチンをふやかす。
1 鍋にだし汁、A、ピーマンを入れて中火にかける。
2 ふつふつとしたら火を止めてひと置きしたら、Bを入れて溶かす。
3 容器に流し入れ、粗熱がとれたら冷蔵庫で3~4時間冷やして固める。
料理家。「ちょりママ」として立ち上げた料理ブログ「ちょりまめ日和」が人気に。テレビ料理番組や企業へのレシピ提案も行う。ゼラチンを活用するレシピを多数考案。著書に『ちょりママのゼラチンひとふり 絶品おかず』(主婦と生活社)、『野菜ががっつり食べられる 具だくさんドレッシング』(産業編集センター)など。
(取材・文 御船晶子=日経ヘルス編集部、写真 鈴木正美、レシピ考案 西山京子、料理&スタイリング タカハシユキ、栄養計算 内山由香=食のスタジオ)
[日経ヘルス 2018年6月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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