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ガソリンは大気から製造できる 新技術で実用化道筋

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/6/30

ナショナルジオグラフィック日本版

大気から回収した二酸化炭素で作った液体燃料(PHOTOGRAPH COURTESY CARBON ENGINEERING)

カナダのカーボン・エンジニアリング社は、大気から液体燃料を製造することに成功、エネルギー専門誌「Joule」に論文を発表した。ガソリンやメタノールなどの燃料は、炭素と水素が結びついたもの。つまり同社は、大気中の二酸化炭素を回収して水素と合成し、液体燃料を作り上げる方法を開発したのだ。

■カーボン・ニュートラル

これは、2つの点でブレークスルーとなり得る技術である。一つは大気中から二酸化炭素を取り出して、気候変動の対策となる低コストな手段になる可能性があること。もう一つはガソリンや軽油、ジェット燃料を製造するための価格競争力があり、かつ大気の二酸化炭素を増やさない方法になる可能性があることだ。

「気候変動の影響から地球を救うことはできないまでも、低炭素経済の実現へ近づく大きな一歩となるでしょう」と、論文著者であるデビッド・キース氏は語る。同氏は米ハーバード大学応用物理学教授で、カーボン・エンジニアリングの創設者でもある。

大気から二酸化炭素を回収して燃料を作るのに新技術は不要だ。それでも実現のためには、3000万ドルの投資、8年におよぶ開発作業、そして正確な工程を練り上げるための「百万個もの細かい調節」が必要だったとキース氏はいう。

細かい調節の中には二酸化炭素の回収にかかる費用を1トンにつき100ドル以下に抑えることも含んでいる。カーボン・エンジニアリングは、2015年からカナダのブリティッシュ・コロンビア州スコーミッシュで実験プロジェクトを実施、既存の工程を応用しつつ、規模を拡大して費用を大幅に削減した。

カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州にあるカーボン・エンジニア社の実験プラントで、大気から二酸化炭素を回収するための装置(PHOTOGRAPH BY CARBON ENGINEERING)

「論文では、年間100万トンの二酸化炭素を回収できる本格的な工場にかかる経費とエンジニアリングについて説明しています」と、キース氏は言う。

これまで、大気から直接二酸化炭素を回収するには少なくとも1トンにつき600ドルかかると考えられてきた。大量に回収するとなると、費用がかかりすぎて実際的ではない。世界では、化石燃料の燃焼によって毎年400億トン近くの二酸化炭素が大気に排出されている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、地球の気温上昇を2度未満に抑えるという国際的な目標値を維持するには、何らかの方法でこの二酸化炭素を大量に回収して永久的に貯留する技術が必要であるとしている。

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