膨らむ日本の医療費、大企業の拠出金が支え

2018/6/30
写真はイメージ=PIXTA
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高齢化や医療技術の高度化などを背景に日本の国民医療費は増え続け、財政を圧迫しています。私たち患者の自己負担割合は年齢や収入などによって異なりますが、一般に1~3割です。では、残りはどのようにまかなわれているのでしょうか。

日本は「国民皆保険制度」を採用しています。すべての国民が、少ない自己負担で医療を受けられる代わりに、収入や働き方などに合わせて一定の保険料を負担するものです。この仕組みは国民と国や自治体、そして企業などによって支えられています。

厚生労働省が公表する「国民医療費の概況」によると、医療費の財源は大きく3つに分かれます。一つめが患者が医療機関の窓口で支払う自己負担分です。ふたつ目が税金を元に国、地方自治体が支出する公費です。三つ目は健康保険組合などの各医療保険制度が集めた保険料収入です。

一般的な勤労家庭では病気などで受診した場合、薬剤費などを含めて医療費合計の3割を自己負担します。自己負担額が1200円だったとすると、医療費合計は4000円と逆算できます。残りの2800円を公費と保険料でまかなっています。

国全体の医療費は2015年度で42兆3644億円でした。このうち患者の自己負担分は5兆2183億円で全体の約12%です。公費は16兆4715億円(約39%)、保険料収入は20兆6746億円(約49%)でした。

公費のうち、国庫負担分は10兆8699億円で医療費全体の約26%、地方負担は5兆6016億円で約13%となっています。医療費が増え続ければ現在の税収ではまかないきれず、税負担が増える恐れもあります。

20兆円超を占める保険料は大企業や中小企業の事業主による負担と被保険者負担に分かれ、それぞれ8兆7299億円(全体の約21%)、11兆9447億円(同28%)でした。

働き方などにより加入する医療保険制度は異なります。大企業で働く会社員は主に、それぞれの企業・団体でつくる健康保険組合に加入します。中小企業の社員らは全国健康保険協会(協会けんぽ)に入ります。保険料は原則として、企業と社員が折半して納めています。

高齢者向け負担重く

自営業者や非正規労働者のほか、65~74歳の退職高齢者らが入るのが国民健康保険(国保)です。比較的低所得者が多く保険料収入を増やすのが難しい一方、平均年齢が高くて医療費がかさみやすくなっています。75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度もあります。

高齢者医療の財政状況はとりわけ厳しく、大企業の健保組合などが支える構造になっています。健保組合から高齢者医療への拠出金の総額は3兆円を超えます。高齢者を中心に医療費が増えると、健保組合の運営も厳しくなり、企業や社員の負担はさらに増える可能性があります。

17年9月に健康保険組合連合会が公表した将来推計で国民医療費は25年度に57兆円を超えるとされます。医療費の増大は国の財政だけでなく、各家庭の生活設計にも大きな影響を与えます。過剰な受診を控えたり後発薬を選択したり、国民一人ひとりが意識を持つ必要がありそうです。

[日本経済新聞朝刊2018年6月23日付]