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中華ヘラだけでは「ご飯を平らにしにくい」という難点が……

塩を入れるタイミングは、炒(いた)め終わる30秒前ぐらいか。鍋をあおらないぶん、塩がまんべんなく混ざるのに時間がかかるので、少し早めに入れている。

炒め方についても微調整したい。実は、何度も中華ヘラを使っているうち、「ご飯を平らにしにくい」という難点を克服する方法を発見した。

左手に中華鍋を握って、あおってみたり、前後に激しくゆすってみたりしたが、あまり意味はないとわかって却下した。中華鍋はコンロに置いたっきりだから、左手が完全にフリー状態で、なんとも心もとない気分になる。そこで、左手に中華おたまを握ってみたのである。

右手に中華ヘラ、左手に中華おたま、の二刀流だ。中華ヘラは「面で押す」ので、ご飯を鍋肌に押しつけやすいが、薄く広げにくい。一方、中華おたまは「点で押す」ので、ご飯を薄く広げやすいが、鍋肌に押しつけにくい。ならば、両方使えば、どちらの得意技も生かせるではないか。面と点のコラボレーションである。

右手の中華ヘラで混ぜつつ、ときどき左手の中華おたまの底でトントンと叩き、ご飯を平たくしていく。ご飯が平たく薄くなったら、すかさず右手の中華ヘラで、ジューッと音がするまで押しつける。中華ヘラで裏返しつつまた混ぜ、中華おたまで広げ、中華ヘラで押しつける……。という動作をくり返す。鍋をあおらないどころか、鍋にふれもしないでチャーハンを作っていくわけだ。

中華ヘラだけより二刀流のほうが、よく混ざり、手早くパラパラにできるように思う。左手の中華おたまでトントンし、右手の中華ヘラで押しつけて混ぜるだけなので、動きとしては簡単だ。ただ、塩やネギを投入するときに、いったん中華おたまを置かなければならない点だけは少し不便かもしれない。

お皿に移す作業は、中華ヘラのほうが一粒も残さずできるので便利だ。ただ、もし中華料理店のように丸く盛りたいという人がいれば、中華おたまの中に、中華ヘラでチャーハンを押し込めばいい。皿で中華おたまにふたをしてクルリとひっくり返せば、こんもりと丸いチャーハンとなる。二刀流、あなどれない。

問題があるとすれば、作業している自分の姿を想像すると、なんだかバカみたいに思えてくることだろう。右手に中華ヘラ、左手に中華おたまという姿は、なんとも大げさで滑稽に見える。エプロンの代わりにマントをはおれば、まるでヒーローごっこだ。真剣に料理に取り組む姿を、妻や子どもに笑われる覚悟が必要だ。

しかし、そこに非日常感が生まれるからこそ、「特別すごいチャーハンを作ってやる」と気合が入るのだ。

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