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「世界でただひとつ」をめざす水中カジノのイメージ図。完成する日は?=ハウステンボス提供

「世界でただひとつ」をめざす水中カジノのイメージ図。完成する日は?=ハウステンボス提供

エイチ・アイ・エス(HIS)を一代で築き、ベンチャーの旗手と呼ばれた沢田秀雄会長兼社長は、様々な事業やプロジェクトを成功に導いてきました。ハウステンボスの再建は近年の成功例です。今回は競争に勝つため、常に心がけているというナンバーワン、オンリーワン戦略の極意を聞きました。

◇  ◇  ◇ 

一番手戦略というのは私の常とう戦術です。HISでは、格安航空券の販売を始めてから、7年間は目立たないようにやりました。マーケットが有望とわかったら、大手が乗り込んできます。当時、こちらには力がないから「出る杭(くい)は打たれる」のことわざ通りになりかねません。

社内には、格安航空券の取り扱いでナンバーワンになるまで「マスコミの取材は受けるな」と厳命し、「ナンバーワンになってから目立て!」と話しました。僕もメディアには全く顔を出しませんでした。ひたすら力を付けることに意を注いだのです。

「1番」になるまでは 目立たず地力つける

「水面下」に潜っていた7年間、2桁成長を続け、売り上げを2倍に伸ばしました。それで格安航空券でナンバーワンになって、一気に浮上です。「マスコミにもどんどん来てもらえ」と社内に号令をかけ、広告宣伝にも惜しまずに資金を使いました。いったんナンバーワンになったら、今度は目立った方が有利になります。お客様はナンバーワンの会社に来てくださるんです。格安航空券の会社は当時、ほかにもたくさんありましたが、淘汰されてどんどん退出していきました。

経営戦略を考えるのに本の知識も役に立ちました。東京の新宿で開業した当初、お客様は1週間に数人ほどで、電話1本かかってこない日々が続きました。暇な時間は本でも読むしかなく、経営書や小説などを読んだのです。「ランチェスター戦略」「孫子の兵法」「武田信玄」「項羽と劉邦」「三国志」「史記」とか、大正から昭和にかけて多くの財界人や政治家から人生の師と仰がれた安岡正篤氏、中村天風氏の本とか、ずっと読んでいましたね。総じて「天下を取る」とか、「勝負に勝つ」とか、戦いの本が多かったですね。これが3カ月ほど続きました。

山岡荘八氏の小説「徳川家康」も記憶に残っています。全部で26巻もある大長編で、そのうち24巻まではパチンコの景品で取りました(笑)。店は午前9時から午後5時まででしたが、お客さんが来ないから、5時の時報が鳴ったら閉めて、近くのパチンコ店に行くのです。昼間に玉が出る台をマークしておいたので、毎回勝ちましたね。その店では文庫本などの書籍の景品が多かったのです。1年たったら、店も軌道に乗り出して優雅に読書をするどころではなくなりましたが。

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