東大生の地頭か、見城徹氏の熱情か 対照的な読書論八重洲ブックセンター本店

「自己検証、自己嫌悪、自己否定の三つがなければ、人間は進歩しない」という著者は「本を読めば、自分の人生が生ぬるく感じるほど、苛酷な環境で戦う登場人物に出会える」と書く。読書を通じて自己検証、自己嫌悪、自己否定を繰り返してこそ、「現実世界で戦う自己を確立できる」と言い切る。仕事のために必要な情報を本から取得するのは悪いことではないが、読書で重要なのは、「何が書かれているか」ではなく「自分がどう感じるか」だと、たぎる思いで語る。

同社のビジネス書シリーズ「ニューズピックスブック」として刊行されているから、ビジネス書ではある。経営者と読書体験について、自らの体験とともに語るくだりもある。それでも夏目漱石から始まって吉本隆明や実際に付き合った多くの作家たちの本について語っていくこの本は、ビジネスにとどまらない、人生と読書の抜き差しならない関係を語る情熱に満ちあふれた本になっている。「ビジネスには教養が欠かせないという流れがあり、その流れに沿って読書論の刊行が相次いでいるのでは」と、ビジネス書を担当する本店マネジャーの川原敏治さんはみる。

『未来の年表 2』が3位に

それでは、先週のベスト5を見ておこう。

(1)言葉が人を「熱狂」させる豊福公平著(きずな出版)
(2)デキる大人になるレシピ 経済まるわかり大江英樹著(日経HR)
(3)未来の年表 2河合雅司著(講談社現代新書)
(4)お金と心を動かす会話術浅川智仁著(かんき出版)
(5)頭に来てもアホとは戦うな!田村耕太郎著(朝日新聞出版)

(八重洲ブックセンター本店、2018年6月10~16日)

1位は、交渉術のプロによる一冊。自分を奮い立たせる言葉やチームを熱狂させる言葉について語っている。2位は、元証券マンの経済コラムニストが分かりやすく経済の基礎を語った本だ。3位は少子高齢化や人口減少が人々の暮らしにどのような形で降りかかってくるかを明らかにした内容。これから何をすべきかについても言及する。4位は、営業メソッドを伝授する本。5位は、人の動かし方を説いた自己啓発書のロングセラーだ。表にはないが、紹介した2冊の読書論は『読書という荒野』が7位に、『東大読書』が9位にランクインしている。

(水柿武志)

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