不動産・住宅ローン

転ばぬ先の不動産学

隣の家から「境界線が違う」と苦情 土地売買の注意点 不動産コンサルタント 田中歩

2018/6/27

境界標(写真)は土地の境界線を明確にするうえで重要。赤色部分の矢印の先が境界点だ=PIXTA

筆者は中古戸建ての売買取引の現場で契約の立ち合いを依頼されることがあるのですが、そこで「『境界標』は必要な点にすべてありますか?」と聞くと、不動産業者から曖昧な答えが返ってくることがあります。「境界標」には杭(くい)や金属のプレート、鋲(びょう)などが用いられ、境界標を結ぶと境界線ができます。売り主に聞いても、住みながら境界標を気にすることはあまりないでしょうから、ほとんどの場合が曖昧な回答になってしまいがちです。ただ、土地の境界線が不明確だと、隣の土地の所有者などとトラブルになることも少なくありません。

■まず境界標の有無を確認

一般の不動産売買契約書には「売り主は買い主に対し引き渡しの日までに境界点と境界線を明示する」と書かれています。(「境界点」は境界標の頭部に金属鋲や矢印、交差する線などで示されます)

契約書に書かれていることは、売り主が自身の責任で売却する土地の範囲を買い主に明示するという意味ですが、契約を急ぎたがる不動産業者は「売り主の責任でやるべきことだし、引き渡し日までに実施すればよい」と確認作業を後回しにしてしまいがちです。もっとひどい場合、売り主と買い主に対して不動産業者から具体的な指示もなく、明示そのものを実施しないケースもあるくらいです。

しかし、境界を明示するということは隣地の所有者から異議申し立てのない所有権の範囲を買い主に示す作業なので、売り主の責任は重大です。「ここが所有権の範囲」と明示して売ったのに、後日、隣地の所有者から「本当の境界線はこちら」と異議を申し立てられないとは限らず、その場合は売り主が買い主に対して責任を負わなければならないこともあります。もちろん買い主もそんなリスクがある買い物はしたくないでしょう。

このため、売るにしても買うにしても、境界線の目印となる境界標が必要な場所にすべて設置されているか、まず確認しておきたいものです。

■測量図があれば問題ない?

しかし、不動産業者から「境界標は一部見当たらないけれど、測量図があるので問題はない」といった説明をされることがあります。確かに見せてもらった測量図は立派だし、その図面通りに境界標を改めて設置し直せばよさそうです。ただ、ここには落とし穴があるのです。

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