どちらにしても「ボケが1つ」なのです。つまり「これで笑わせたい」というポイントがはっきりしているということです。ボケが1つに絞られていることでそのネタを初めて見る人も「ああ、こういうことで笑わせたいネタだ」と無意識にすぐに理解でき、その分かりやすさがあって初めて笑いになるのです。面白さにはその大前提として分かりやすさが必要であるとも言えます。

「ワンチャート・ワンメッセージ」を徹底

「ワンチャート・ワンメッセージ」は耳にたこができるほど聞かされた

お笑い養成所では私もやりたい要素をあれもこれもと詰め込んで、そのたびにダメ出しで「ボケが2つ入っている」「ボケは1つに」ということを言われました。そして、その言葉を繰り返し言われる中で思い出す言葉がありました。マッキンゼーで耳にたこができるほど言われた「ワンチャート・ワンメッセージ(one chart, one message)」です。

その説明の前に、まずマッキンゼーで作成するプレゼン資料では大前提として、チャート(図表)ごとに「メッセージがあること」を徹底させられます。私も大学時代まではよくやっていたのですが、例えば、パワーポイントのスライドの上部に大きなフォントで「A国の過去20年間の新車販売台数の推移」と書いて、その下に近年の推移を表したチャートを載せるだけでは、メッセージが欠けており「何が言いたいのか」が見ている人は分かりません。

この場合、「A国の過去20年間の新車販売台数の推移」はあくまでチャートのタイトルにすぎません。それとは別に「A国の新車販売台数は過去20年間減少傾向にあったが直近の3年間は微増している」というように主語と述語のある文章にして「このチャートはこういうことが言いたい」というメッセージをスライドの最上部に載せる必要があるのです。

そして「ワンチャート・ワンメッセージ」とは、1つのチャートのメッセージを明確に1つに絞るべしというルールです。クライアント(顧客)でもトップマネジメントでも、子供でも、初めて資料を見た人が15秒以内に「分かった!」と思えるくらい極力シンプルにメッセージが伝わるものを目指すようにと教わりました。「何が言いたいのだろう?」「なんかよく分からない」と思わせてしまった時点で見る人の心が離れてしまうのです。そのためにはメッセージが1つしかないこと、2つ以上言いたいことがあるならばそれは別のチャートを作成すること、が徹底されます。

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