2018/6/22

記事

万能でないインデックス運用、市場に懸念も

とはいえ、インデックス運用が万能なわけではありません。長期的に市場全体が上昇することの論拠は、その市場が立脚している実体経済の持続的成長力が前提となります。私たち日本人がよって立つ日本経済を例にとれば、過去20年間、経済成長が失われているばかりか、潜在成長率は主要先進国で圧倒的に低いままです。これらを鑑みると日本株のインデックス運用が今後、リターンを生み出す蓋然性は乏しいと言わざるを得ません。資産運用の王道は、長期で持続的な成長軌道を有する投資対象に資金を投じてリターンを生み出すことにあり、それはアクティブでもインデックスでも変わりません。

昨今、インデックス運用が世界的に隆盛を誇って運用資産規模を急拡大させており、市場には新たな懸念が生じています。

良い銘柄も悪い銘柄も選別せずに組み入れるインデックス運用の資金流入が急拡大した結果、事業価値の低い企業の株価も市場全体に連動して上がってしまいます。これでは市場本来の合理的な価格発見機能が損なわれかねません。またインデックス運用が同じ投資行動をとったため、外部環境に大きな変化が生じたときに資金が大きく一方向に動いてしまう弊害も考えられます。

実際、最近の市場は一方向に大きく動きやすくなっており、米国ではインデックス運用から伝統的なアクティブ運用へ資金が回帰する動きが出ています。そもそも資産運用とは、各運用者がプロフェッショナルな専門能力や独自の価値判断を反映させた投資行動を実践し、運用成果を競い合う点に本質があります。様々なアクティブ運用が存在しているから市場平均価格(インデックス)が成立するわけで、アクティブ運用なくしてインデックス運用は存在し得ません。アクティブとインデックスの両タイプの運用が均衡を保って併存することこそ、健全な市場を維持する前提といえます。

日本株、アクティブ運用が合理的な面も

日本では欧米から周回遅れでインデックス人気が高まり、つみたてNISAでは結果としてインデックス投信がメニューの大半を占めました。インデックス投信への資金偏重とともに、コストの安さが運用成果のすべてと曲解されている風潮は気がかりです。

つみたてNISAで投資できるアクティブ運用型ファンドは数えるほどしかありません。しかし経済全体の成長を見出しにくい日本株式では、銘柄を厳選するアクティブ運用型の方がインデックス運用型より合理的な選択とも考えられます。セゾン投信のアクティブ運用型ファンドは、「価値ある企業を厳選し、それらを安く買って長く保有する」という運用方針を貫いています。

ヤング投資家の皆さんもインデックス運用ブームの今だからこそ、あえてアクティブ運用の魅力と存在意義を考えてみてください。

中野晴啓
 セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。