ジャーナリストの津田大介氏が気になるモノやサービスに迫る連載。今回は、ソニーが開発した「Xperia Ear Duo」を取り上げる。特徴は、「音楽を聴きながら周囲の音や会話もクリアに拾える」こと。周囲の音をカットして音楽に集中できるノイズキャンセリング型のイヤホンとは正反対の製品になる。実際に試してみると、新しい音楽の楽しみ方やイヤホンの使い方が見えてきた。
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「耳をふさがない」イヤホン
Xperia Ear Duoは「耳をふさがない」イヤホンだ。左右独立のワイヤレスタイプで、耳の後ろに配置されたドライバーユニットから伸びている音導管を通して音楽が流れてくる。このメカニズムにより、音楽を再生した状態でも周囲の音を聞くことができる。
音楽の聞こえ方も従来のイヤホンとは異なる。街中を歩いてみると、カフェなどの店内に設置されたスピーカーから流れる音楽を外で聴いているような感覚だ。音楽をかけていても周りの音は聞こえるので、車の音にも反応できるし、急に話しかけられても装着したまま会話ができる。
音漏れは最小限に抑えられている。かなり音量を上げた状態で満員電車などに乗ると周りの人に注意されるかもしれないが、外で歩いていてすれ違う程度であれば、気にならないのではないか。
装着していて感じたのは、耳への負担が少ないことだ。
僕が使っているイヤホンは密閉感が強く、1時間も着けていると耳が痛くなってくる。人間の聴力は一度低下すると元に戻らないといわれているので、音量や使用時間には気をつけているのだが、その点、Xperia Ear Duoは圧迫感がなく、長時間聴いていられた。
ただ、形状が独特なので、装着には少し手間取った。慣れるまでは少し時間がかかるだろう。

仕事や家事をしながらBGMのように聴く
周囲の音が聞こえるため、さまざまな作業をしながらの「ながら聴き」が可能だ。
例えば、オフィスで音楽を聴きながら仕事をしていても、同僚や上司からの声かけも聞こえるし、電話のコールにもすぐに対応できる。自宅で家事をしながら音楽を聴いている場合でも、玄関のインターホンが鳴ったのを聞き逃すなどという心配も少なくなるだろう。
試用してみて、音楽鑑賞だけでなく、ビジネスにも向いていると感じた。