転職するか、とどまるか 40代の岐路は3要素で見極め経営者JP社長 井上和幸

人工知能(AI)や、あらゆるモノがネットにつながるIoTの活用などで、パソコンの定型作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、無人化、自動運転化などが急速に進み始めています。コールセンターのオペレーター、コンビニのレジ、タクシードライバーの業務などはこれから5年、10年以内に「駅員の切符切り」化が進行することでしょう。

「昇りエスカレーターに乗れ」という言葉があります。いくら頑張って階段を駆け上がろうとしても、階段自体が下りの方向へと動いているならば、労力が無駄に消費されてしまうか、最悪の場合、成果ゼロまたはマイナスということにもなりかねません。先の長い社会人人生、ご自身の就労する事業環境、市場環境の行く末をしっかり俯瞰(ふかん)しておくことも必要です。

ただ、ここで1点気をつけていただきたいのが、いくら「市場・事業環境の可能性」を見ても、「自身の経験・スキル」との掛け算がない領域を考えてはいけません。AIに可能性がある、ゲノム関連はこれからの有望な医療事業テーマのはずだと分析しても、自分がその業界のどの職務で貢献できるのか。その業界におけるコア業務を担うことができないのに、可能性が高そうな「注目の」「はやりの」業界を目指すことはやめましょう。影響力のある職務で成果を出せる可能性の少ない転職は、多くの場合、転職先企業で苦境に陥ることになるのです。

変化の中で安定を求める「リスク」

事業環境の変化が激しい時代だからこその「リスク」の考え方があります。それは、「留まる、安定を求める、しがみつく」ことの方が、「チャレンジする、変化を求める」ことよりリスクが大きいということに他なりません。今の安定こそ明日の激変、衰退が当たり前の時代なのですから。

とはいえ、リスクを取るマインドセットや行動が苦手な人が40歳を過ぎて、自身の経験・スキルよりも自社の処遇、市場・事業環境の可能性が上回る場合に転職することは無謀です。ある程度先の見える現状に満足して、社会人の「余生」を生きるか、それでもやはりチャレンジするのか、ぜひとも、熟考の上での行動をお願いします。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は6月29日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。

井上和幸
経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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