「どちらもいい」つもりが… 英語でも難しい使い分け
デイビッド・セイン「間違えやすい英語」(24)care
言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回は、care の使い方。非常に多様な意味を持つ単語だけに、意図しない言い回しになることがあります。
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勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。
ナンシーチームの新スタッフ候補はいずれも甲乙つけがたく、ナンシーも迷っています。ナンシーはチームメンバーの意見を聞くことにしました。皆がナンシーの決断の一助となるべく意見を言うなかで、ヒロシのひと言はまたしてもナンシーを呆れさせます。ヒロシはいったい何を言ったのでしょうか。
それはこんな会話でした。
Hiroshi: I don't care.
Nancy: Well, I do! Don't you know it's an important decision?!
Hiroshi: I do, but...
ヒロシは期せずしてこのように言ったことになります。
ひろし:どうだっていいですよ(気になんてしませんよ)。
ナンシー:いえ、するわよ! これが重要な決断だってことが分かっていないの?
ひろし: 分かっていますけど……。
careは非常に多くの意味を持つ言葉です。例えば Would you care for some more coffee? 「コーヒーをもう少しいかがですか?」 であれば、care for は「好む、欲しがる」の意味になります。また、care には「気にかける、心配する」の意味もあります。否定形 I don't care. にすると、単に「気にしない」の意味ではなく、「どうだっていい、かまいやしない」のように突き放した冷たい響きになってしまいます。これではナンシーが「何を言っているのよ! 大切な問題じゃないの」と怒りを持つのはやむを得ません。
では、どう言えばよかったのでしょう?