クレジット市場に変調の兆し 負債に警告(平山賢一)東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長

写真はイメージ=123RF
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「クレジット市場の取引に関与しているのはほとんどがプロ。株価など他市場に先行して動く場合もあり、要チェックだ」

米国の株式相場が不安定な値動きになるなど、世界的に経済の将来見通しに先行き不透明感が広がっています。米国と中国の貿易摩擦の激化が足元の悪材料ですが、そもそも株高を支えてきた金融緩和ムードが終わりを迎えつつあるのが最大の理由でしょう。実は筆者にとっては気になる動きがもう一つあります。世界のクレジット(信用)市場に変調の兆しがうかがえるのです。

多くの投資家は、景気、株価、金利の動向に注目しますが、これに加えてクレジット動向もしっかりと確認しておくべきです。クレジット動向とは国債や社債利回り、銀行による貸出金利など国や企業による借金の動向を通じて知り得る信用状況のことです。

クレジット市場はほとんどプロが関与

これらの取引に関与しているのはほとんどがプロですから、株価など他の市場に先行して動く場合もあり、要チェックです。つまり、クレジット動向も頼りになるシグナルになり得るわけです。

誰だって、信用できない国や企業にお金を貸したくありません。どうしても貸さざる得なくなったら、それだけ多くの金利をもらいたいと考えるでしょう。こうした状況では信用力の低い社債や新興国の債券利回りは上昇傾向となります。

今まさにそれが起きているのです。これらの利回りは社債の場合はおのおのの国の国債利回り、新興国国債の場合は米国国債利回りと比較して、どれだけ上乗せされているかがポイントとなります。この上乗せ利回りのことをスプレッド(金利差)といい、大きいほど信用力が低いと投資家がみなしていると判断できます。それだけ利回りが高くないと投資家に買ってもらえない不人気な状況といえるからです。

これらスプレッドは2018年初までは低下し続けてきましたが、このところ上昇し始めています。例えば、6月20日時点でブラジル(米ドル建て)と米国の10年国債利回りはそれぞれ6.1%、2.9%で、スプレッドは3%を上回っています。スプレッドは1月には、2%を下回る局面もあったので、急拡大しているわけです。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げにより、米国のような信用できる国にお金を貸して(つまり、米国債を購入)、まともな利息(金利)をもらえるようになったのですから、信用できない国や企業に貸す必要はありません。

信用度が低い投資先への資金が細る

ここにきて、欧州中央銀行(ECB)による量的金融緩和の年内終了決定もあり、世界中の金利の底が確認された今、信用度の低い投資先や貸出先に資金を提供するパイプはますます細っていくかもしれません。社債だけでなく、信用度の低い貸出先が多いといわれる一部の金融機関が発行する債券のスプレッドも顕著に拡大しています。

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