植物と文字で彩る イッセイミヤケ今夏の香水ボトル
デザイン起用の仏クリエーターに聞く
グラフィカルなアルファベットからのぞく、色とりどりの植物。イッセイミヤケパルファムは今夏の香水「ロードゥイッセイ」のデザインボトルに、気鋭の仏クリエーター2人を起用した。植物を駆使した空間芸術や装飾品で知られるアリス・オーボワロンさんとグラフィックデザイナーのティルサさんだ。
共作のテーマは「自然に開かれた窓」。ラグジュアリーブランドのショーや広告で活躍する2人に、「イッセイミヤケの美学」を聞いた。
「水」を意味する「L'EAU D'ISSEY(ロードゥイッセイ)」は1992年に発売された、イッセイミヤケブランドの香水の代表格だ。デザイナー、三宅一生さんの「水がインスピレーションの源である」という思いを具現化し、香りはピュアでフレッシュ。エッフェル塔の頂上に満月が重なり合ったフォルムを模したボトルが特徴だ。夏用の香りでは歴代、ボトルやパッケージデザインに人気クリエーターを起用した限定製品を売り出しており、今回は第8弾となる。
ボトルとパッケージを彩るのは、壁にうがたれたグラフィカルな文字型の窓と、その隙間からあふれ出る生命力に満ちた植物。人工大理石をデジタルカットして文字の形にくりぬき、そこに様々な植物を配置して撮影した。
「アリスの『植物』と私の『文字』を結びつけたテーマ、『自然に向かって開かれた窓』は早い段階で決まった」(ティルサさん)。ボトルの形に合わせて女性用は丸みを帯びた文字、男性用は角ばった文字を使った。
植物はわらやヤシ、ジャスミン、コケなどの本物を使った。「夏っぽさが出るように葉に着色した。イッセイには、他にはない魔法のような植物が求められていると感じたので」とオーボワロンさんは言う。
植物を通じてブランドの精神を表現するオーボワロンさんは、シャネルのショーの装飾など高級ブランドから引っ張りだこ。ティルサさんはナイキやティンバーランドなどの広告で活躍し、そのポップな感性は幅広い世代の共感を得ている。
2人が感じたイッセイミヤケの美学とは何か。「イッセイミヤケはモードというより、一つの精神。そのクリエーティビティは複雑であり、さまざまな製品を展開しているが、いずれもこれがイッセイミヤケだと認識できる。それは、背後に明確なコンセプトがあるからだ。私には建築やアートも越えた世界観があると感じられる」とオーボワロンさん。ティルサさんは「日本の伝統と革新を混合、体現しているブランド。伝統を尊重しながらプリーツなど新しいものを探求し、予想もつかないものを届けてくれるメゾン」だと話す。
新製品発売とともにウインドーディスプレーを特別展示。「ISSEY MIYAKE GINZA/OMOTE」「資生堂銀座ビル」(ともに東京・中央)などのウインドーで2人の作品を体感できる。
(編集委員 松本和佳)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。