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コツコツ長期投資 実は高リスク投信ほど収益は大きい QUICK資産運用研究所 高瀬浩

2018/6/20

収益額の最低値といっても聞き慣れないかもしれないので少し説明しよう。これはおのおのの投資期間内でそれまでの投資元本を保有時価から差し引いた収益額が最小だったときの数値を示すものだ。元本より保有時価が少ない場合は数値がマイナス(損失)となり、多くの場合は最大の損失額を示す。表Aを見ると、リスクが高いほど損失額が大きいのが分かる。

先の2つのファンドを例に具体的に説明しよう(表B)。「京都・滋賀」の最大損失額(最低値)は積み立て開始から4年3カ月後(投資元本51万円に対し、保有時価は約36万3000円)の約14万7000円だった。一方、「マイバランス30」の最大損失額は積み立て開始から3年6カ月後(投資元本42万円に対し、保有時価は約40万8000円)の約1万2000万円だったが、額は小幅にとどまった。

つまり、表AとBから分かるのは、リスクが高いファンドほど大きく元本割れするにもかかわらず、最終的にはリターンが高くなるということだ。一見矛盾しているようだが、これは一体どういうことなのか。

■低い値段で多くの口数を購入できる

理由を探るため、2つのファンドの基準価格と平均購入単価の動きを比較してみた(グラフC)。平均購入単価というのは累計投資額を保有口数で割った投資元本のことで、基準価格(時価)と平均購入単価(元本)の差が収益額に相当する。

両ファンドの現在の基準価格は10年前に比べ40%強と同じぐらい上昇しているが、途中の値動きは「京都・滋賀」の方がかなり荒い。そのため「京都・滋賀」は基準価格が平均購入単価を大きく割り込む元本割れ状態が続き、平均購入単価も緩やかな下落傾向をたどっていた。これに対し、「マイバランス30」の平均購入単価は投資開始初期に一時的に下がった以外、ほぼ変わらないか緩やかな上昇基調を描いている。

これがなぜ「京都・滋賀」の収益額が「マイバランス30」より大きいという違いにつながったかというと、ある意味単純で「元本割れしたときにより多くの口数を購入できた」ことによる。試算してみると、大きく元本割れした時期が長かった「京都・滋賀」の10年間の実質的な購入口数は「マイバランス30」の1.5倍となった。

要するに、ハイリスク投信のコツコツ投資は「元本割れしたときに低い購入単価で多くの口数を買えるので、いざ基準価格が上昇すると収益が一気に膨らむ」という効果をもたらしやすいわけだ。

■途中でやめないで継続するのが大事

もっとも、ハイリスク投信のすべてが高収益になるわけではないことには注意が必要だ。表Aを見ても、ブラジル株や中国株、原油先物の指数に連動するファンドが該当するリスク階級「5」や「5*」の平均収益額は「4」よりも小さい。大きく下げた後の戻りが鈍いのが一因だ。こうした現象は一時的なショックではなく、経済などに何らかの構造変化があったときに見られることもある。それらを理解の上、自分がとれそうなリスクに見合った投信を選ぶようにしたい。

「京都・滋賀」にしても累計の投資額が積み上がった投資の終盤に、基準価格の急落による元本割れが起きたら、最大損失額は約14万7000円では済まずにもっと膨らんだ恐れがある。

ハイリスクであるほど大きな痛手をこうむる「不確実性」は避けられない。だが、不安心理で途中で投資をやめてしまったら損失だけが残ってしまう。長期のコツコツ投資は元本割れしてもいずれは基準価格が回復するはずと信じ、機械的に購入し続けることが何より大事だ。

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