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働き方改革の原点は社員の呼び名 ロート社長の挑戦

山田邦雄ロート製薬会長兼CEO(上)

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NIKKEI STYLE

2016年に発表した、社内外との「副業解禁」制度が注目されたロート製薬。主力商品に力がある老舗企業は変革が遅れがちですが、山田邦雄会長兼最高経営責任者(CEO)は4代目にして過去最高の収益を上げる経営者。会社の主力製品を目薬や胃腸薬などの一般医薬品からスキンケアにシフトしてきました。その成功の背景には、社長時代に導入した社員の「あだ名呼び」、幹部を通路側に座らせるオープンなオフィスなど、社風や働き方を変える取り組みがあったそうです。山田会長に聞きました。

働き方改革は呼び方の変更から

白河桃子さん(以下、敬称略) 「社外チャレンジワーク」という社外での副業、「社内ダブルジョブ」という社内での兼業を認める人事制度改革が話題になりました。でもロート製薬については、山田会長が社長になられたころからの変化にずっと注目していました。ロートといえば目薬や胃腸薬という一般用医薬品(OTC)のイメージですが、もう目薬が主力の会社ではないんですよね?

山田邦雄会長(以下、敬称略) 目薬のVロート、胃腸薬のパンシロンというのが二枚看板で、その後にメンソレータムの扱いも始めました。やっぱり良くも悪くもこのメインの商品が非常に強かったので会社も大きくなった。しかし商品が立派だと、守りに入るんです。現実を見れば、シェアもピーク時に比べるとじわじわと下がってくるし、市場そのものが小さくなっている。これにしがみついても、大きく展望が開けないなと、スキンケアをいろいろやりはじめた。今は売上高の6割以上がスキンケア関連品、また4割近くを海外売上高が占めています。

白河 私が大学の授業で使ったテレビ番組の録画(2013年放送の「カンブリア宮殿 」)があるのですが、ロート製薬が「肌ラボ 極潤」シリーズのプチプラコスメ(手ごろな価格帯の化粧品)を開発して大ヒットしたことを取り上げています。パッケージはシンプルにして、安くて、ヒアルロン酸がたっぷり入っている方がいいなどと女性のアイデアを中心に開発した。印象的でした。若い女性たちが堂々と会長に意見を言っていて、「働き方改革」で今多くの企業が右往左往しているようなことを一歩先にやっていたんです。

山田 社員はみな、「ロートネーム」という呼び名をつくって、社員証にも入れる。僕は「会長」ではなく「邦雄さん」と若い社員にも呼ばれています。新しい事業をやることになると、昔からの発想ではだめなのでね。新しい人、特に若い人に来てもらって、彼らに活躍してもらわないといけない。

そこで、若い人の目線からみるとピラミッドで部長、本部長ってそっくりかえっているようなのは、いかにも古いなあと思ったんですよ。先輩層にはもちろん違和感もある。僕の父も「ええ、名前で呼ぶのか」みたいな(笑)。

でも、事業戦略や製品について議論するのに、立場なんて関係ない。最終的には責任ある人間が決めるけれど、その前に議論やコミュニケーションが必要です。役職によって発言が制約されるというのは誰にとってもいいことじゃないと思っていました。

白河 社風を変える上で「形を変える」のはすごく大きいですね。

山田 名前の呼び方が変わったからすぐに仕事の仕方が変わるわけでもないんですが、随分雰囲気が柔らかくなった。席の配置にしても部署ごとに部屋が分かれていたのをオープンオフィスにしたら、なんとなく全体の動きが分かるようになった。いま、うちは幹部が窓側ではなく、通路側に座るようになっているんです。

管理職は窓側でなく、中央通路側に座る

白河 驚きました。山田会長の席も真ん中にありましたね。

山田 ちょっと話しかけやすい感じにもなりますから。漢方薬みたいなもので、劇的ではないけどじわじわきくという効果があるんです。人間、決まったルールの中でやるほうが楽だという気持ちもどこかにはある。自由にしたいっていう気持ちと。両方みんな持っている。バランスをとりながら、じわじわと進めているんです。

白河 バランスをとりながらの改革が、43歳で100年企業のトップになった90年代後半からずっと続いているんですね。働き方改革は時間がかかると思うんです。社員の考え方とか会社のDNAが最終的に変わるのが改革の狙いで、見せかけの残業が減っても意味がないので。

山田 もう20年ずっとその改革をやっています。ゴールがあるわけでもなく、やり続けてるな、という感覚が僕の中にある。

白河 その中で新しいビジネスが生まれ、ビジョンも変わっていくんですね。OTCからスキンケア、再生医療、レストラン、アイス、そしてアフリカにも進出される。

山田 やっている事業は随分変わってきました。そのため、採用については新卒とキャリア採用で、だいたい五分五分くらいのバランスにしていこうとしています。常に外からの刺激、新しい血を入れている。古い人には古い人の良さもあるけれど、凝り固まっちゃうので、始終ミックスしていく。これもずっと継続してやっていますね。

織物みたいなもんだね。縦糸と横糸を組み合わせてというイメージはずっとあります。

古いものと新しいものをバランスさせる

白河 常に古いものと新しいもののバランスを大事にされている。

山田 うまくやれているかどうかわかりませんけどね。そういうやり方じゃないと違う分野にどんどん出るのは難しい。結果を出さないのは困るので、必ず結果は出します。女性活躍といっても、いい意味で、男女がうまく交じり合っているのが、バランスとしては一番いい。どんなチーム編成が一番活性化するのかを、ずっと試行錯誤してる感じですね。今の働き方改革ブームをちょっと先取りしてたところはあるかもしれないねえ。

白河 日本型の働き方から風土改革が進んで、すでに土壌が整えられているからこそ、副業兼業の解禁など新しいことも受け入れられるのかと思いました。

山田 既存のビジネスのような、ある程度のルーティンをきっちりとこなしながら、新規事項を盛り込んでいく。僕ら、規模的にはちょうどいいぐらいだと思うんですよ。化粧品と医薬品などは、うちより大きな企業もたくさんありますし、新しくベンチャーで勢いがある会社も出てくる。ある程度の規模と、ベンチャー的な活力、それを両立できる企業のサイズと思っています。安定して万全の収益体制、なんていう会社はどうしても改革しにくいから。

働きがいのある会社だと思われたい

白河 新しい地に出ていかなければいけないっていう危機感はありますか?

山田 個別の商品はナンバーワンシェアもあるんですが、化粧品も医薬も大きな企業だらけなので、チャレンジし続けていないと、いつ競合にシェアを奪われてもおかしくない。したたかにやってかないと、という気持ちは社員みんなにあると僕は思いますよ。

白河 その挑戦をさらに形として見せたのが2016年の創業117周年の記念日に発表された新しいコーポレートアイデンティティ(CI)「NEVER SAY NEVER」なんですね。薬を扱ってきた会社が「薬に頼らない健康」と自らを否定されていたので驚きました。

山田 新しいCIという受け皿を用意したほうが、エネルギーが出やすいと思ったんですね。

白河 CIと一緒に新しい人事制度も発表されている。「社外チャレンジワーク」と「社内ダブルジョブ」の両制度を制定された。1年目は兼業制度にあたる「社外チャレンジワーク制度」では60人強の応募があったとか。

山田 副業兼業の解禁がまさかこんなに話題になるとは思ってなかった。そんなこともオッケー、やってみようよ、という軽い気持ちだったんです。メディアでこれだけ取り上げられるとは、まったく想定外でしたね。うん。

僕の中で働き方改革はきのうきょうという話でなく、20年ぐらいずっとコツコツやってきた。最近は「働き方改革」がトレンドワードになっていますが、違和感がありますね。

白河 どういった狙いがあって、導入されたのですか。同様に兼業を認めている、サイボウズの青野慶久社長とも対談されていましたね。

山田 青野さんは、もっと突き抜けているからね。若い企業のやり方はものすごく参考になるし、刺激にもなる。(「サイボウズ、賃金テーブル捨てた! 給与どうなった?」参照)

今までなら1部上場で有名企業なら採用には困らなかった。実際はこれから若い世代の人口がどんどん減っていく中でいい人材を奪い合うわけです。そんな中で、「社員に本当のやりがいを提供できているのか」という疑問があったんです。最近ではベンチャーの勢いある企業で伸び伸び働くというモデルが出てきた。そうなると、自分の意見も通らないし、下積み期間が3年も5年あるような古い企業に、やる気のある人は来ないじゃないですか。

あの会社は「働きがいのありそうだな」と思ってもらわないと、これが死活問題なんです。

(来週公開の下編では「副業兼業の解禁」への期待と効果、現状、未来へのビジョンについて聞きます)

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「『婚活』時代」(共著)、「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)。

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