オリパラ

勃興eスポーツ

ゲーマーも栄養管理 eスポーツにかける米国の本気 現地の最新トレーニング施設を見る

2018/6/26 日経産業新聞

選手の前にはデルが寄贈した最新のゲーム用パソコンとモニターが並んでいた。長時間ゲームをしても疲れないように設計してある「マックスノミック」ブランドの椅子も特注品だ。

「かなり気を使っている」(チェン氏)のが食事だ。専属シェフのマニー・リシアガさんが栄養やカロリー量を考慮してメキシコ料理やパスタなど3食を作る。ゲームというと軽食を取りながら遊ぶイメージもあるが、この施設では練習中の食事は禁止だ。「食べ過ぎて眠くなったり、集中力が下がったりしないようにしている」(チェン氏)

スタジオにはカメラマンが常駐しており、選手のポスターなどを素早く作成できる

選手のための設備以上に充実しているのは、チームを支える25~30人のスタッフのための設備だ。デルがこの施設に寄贈したパソコンは50台以上、モニターは150台以上にのぼるが、スタッフ向けの機材も多い。

たとえば、選手の格好よい写真や映像を撮るためのスタジオ。施設にはカメラマンが常駐しており、試合の日程などが決まればすぐにポスターを作ることができる。写真や映像編集のための作業場もあるので、その場で制作を進められる。週末の試合が終わってすぐにダイジェスト版の動画を作りソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で発信することも可能だ。

eスポーツのチームがプロである選手のプレーの質を高めるのは当たり前。チームとしてのブランドを高めるための仕組みの充実ぶりに、eスポーツという言葉が盛り上がり始めたばかりの日本との違いを感じた。

◇   ◇   ◇

■プレー動画の鑑賞はファンの日常

米国ではゲームでの対戦の様子を公開したり観戦したりするなどは日常のいち風景だ。6月12日から14日までロサンゼルスで開かれた世界最大級のゲーム展示会「E3」の会場にも、eスポーツのステージが設けられていた。

対戦ゲーム「アリーナ オブ ヴァラー」のステージを観戦していた米イリノイ州在住のジョン・ジェファーソンさん(36)は「特に『eスポーツ』という言葉は使ったことはないが、ゲームに疲れたときに大会やプレー動画はよく見る。チームの戦略など見ていて面白いところがたくさんある」と語る。

普及の背景には、動画配信サイト「ユーチューブ」やゲーム動画専門サイト「ツイッチ」などでゲームのプレー動画を見る文化が定着したことが挙げられる。大会だけでなく、ネットでの視聴者が増えることでスポンサーなどがつき、広告料や大会の配信料などのビジネスが成り立つ。E3のeスポーツステージも米通信大手AT&Tがスポンサーをしていた。

オランダの調査会社ニューズーによると、興行収入と広告、配信収入などを合計したeスポーツの2018年の市場規模は前年比38%増の9億560万ドル(約990億円)で、21年には16億5千万ドル(約1800億円)に達する見通しだ。一方で、プロゲーマーの制度を整えたことでにわかにeスポーツへの関心が高まった日本の市場規模(Gzブレイン調べ)は5億円に満たない。

カプコンの辻本春弘社長は「eスポーツには15~20年程度の長期的な視点で取り組んでいくべきだ」と話す。一時のブームにとどまらず、文化として定着させる意識が必要だ。

(佐藤浩実、桜井芳野)

[日経産業新聞2018年6月15日付を再構成]

オリパラ 新着記事

ALL CHANNEL