大学改革も永守流 「京都学園大は10年で私学トップ」京都学園の永守重信理事長に聞く(上)

永守氏はさらにこう続ける。「一方、偏差値という1つの物差しで入る大学を勝手に決められ、志望する大学に落ちて自信を失い、残りの人生を棒に振る若者は多い。そもそも最近は、いわゆる一流大学には、高いお金を払って塾に通ったり家庭教師をつけたりしないとなかなか入れない状況。浪人するにもお金がいる。つまり、いい大学に行くには裕福な家庭の子供が圧倒的に有利。これはどう考えてもおかしい。だからこそ偏差値教育は打破するべきだと考えている」。

入学式で飛ばした檄はこうした考えを反映したものだったのだ。

■「世界199位」以内へ、躍進狙う

とはいえ現実には、大学としては優秀な学生を集めなくてはならない。それが大学の評価にもつながるからだ。では、偏差値に頼らずにどうやって優秀な学生を集めるのか。それが新たに打ち出した「世界199位作戦」だ。

大学を評価する有力な指標の1つに、英国の教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)」が公表する世界大学ランキングがある。最新の18年版で100位以内に入った日本の大学は、46位の東大と74位の京大だけ。101位から200位までには1校もない。つまり、他の大学がその時点で京都学園大の順位を上回らないことが条件だが、京都学園大が199位以内に入れば、日本の大学の中では東大、京大に次いで3番目に世界的評価の高い大学となる。それによってブランドイメージを高め優秀な学生を集めることも可能になる。これが作戦の狙いだ。

永守氏は「10年以内に199位内に入る」と宣言する。だが、199位以内に入るには、その前に東大、京大以外の国立大学や早慶などトップレベルの私立大学をごぼう抜きにしなければならない。そんなことは果たして可能なのか。

実は、THEのランキングは、教員の対学生比率や教員1人当たりの論文被引用件数、留学生数比率など審査項目が明確で、各項目の数字を引き上げれば順位を一気に上げることはそう難しくない。実際、アジアの新興大学の中には、そうやって短期間で世界的評価を高めたところが少なくないという。

それは日本の大学もわかってはいることだが、やろうとしないのは資金面のハードルが高いためだ。だが、京都学園大には永守氏という切り札がいる。永守氏は、「理事長就任時に100億円を寄付すると言ったが、世界199位を目指すとなると最低でも300億円は必要になるだろう。その用意はある」と語る。やるからにはとことん勝負する気だ。

(ライター 猪瀬聖)

<訂正>6月17日5:40に公開した「大学改革も永守流『京都学園大は10年で私学トップ』」の記事中、日本電産の時価総額が「3兆円超」とあるのは「5兆円を超える」の誤りでした。本文は訂正済みです。

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