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新政酒造の佐藤祐輔社長には異名が多い

新政酒造の佐藤祐輔社長には異名が多い

日本酒の消費が低迷するなか、発売すればあっという間に店頭から消える「幻」の日本酒「新政」。その評判は遠く海外にまで及ぶ。手掛けるのは8代目当主の佐藤祐輔・新政酒造社長(43)。東京大学文学部を卒業し、一時は作家を目指すなどした異色の蔵元だ。その原点は、苦悩しながら自分探しを続けた大学時代にあるという。

熱烈ファンが香港からわざわざ来日

6月6日。東京渋谷区のレストラン「秋田純米酒処」に40人を超える新政ファンが集い、新政と新政にちなんだ日本酒を味わうイベントが開かれた。この日を選んだのは、新政を代表する「No.6(ナンバー・シックス)」シリーズへのオマージュ(敬意)から。日付にあわせて、この日発売になった「No.6 A-type」をはじめ、マニアでも入手困難なレアものも次々と登場。その都度、どよめきや感嘆の声が上がった。

出された日本酒は全部で31種類。これをフレンチ風のコース料理と合わせながら、ぐい呑(の)みやワイングラスで味わう。参加費は1人あたり1万2000円と、決して安くないが、20歳代から40歳代とみられる男女で店内は満員だった。

驚いたのは、はるばる海外からやってきたファンもいたこと。新政のイベントには毎回、妻と一緒に参加しているという香港在住のリーさん(34)は、この日は友人カップルを誘って4人で来日。「新政は酸味が非常においしい。香港で買うと、値段が日本の5倍もする」などと上機嫌で話した。

イベントを企画した齋野啓太店長は「幻と呼ばれる日本酒はいくつかあるが、こんなに熱狂的なファンが付いているのは、おそらく新政だけ」と述べ、こう付け加えた。「みんな、佐藤さんの生き方に心酔しているのだと思います」。

日本酒業界のスター的存在

革命児、反骨の士、ニューリーダー、アイドル、日本酒業界のスティーブ・ジョブズ、など様々な称号、ニックネームで呼ばれる佐藤氏とは、いったいどんな人物なのか。秋田市内に新政を訪ねた。

新政は江戸時代末期の1852年に創業した老舗の酒蔵。酵母の種類が風味を大きく左右する日本酒は、戦前から、国税庁が評判のよい酒を造る酒蔵で育ったいわゆる蔵付き酵母を培養し、他の酒蔵も平等に使えるシステムを構築、日本酒全体の品質を向上させてきた。新政の蔵で1930年に見つかった酵母もそうした有名酵母の1つ。「きょうかい6号」という名前も付けられており、No.6の名前の由来にもなっている。

6号酵母は発酵力が強く、同酵母で醸した酒は穏やかで澄んだ香り、淡麗な味わいになるとされる。ただ、酵母の人気には流行があり、現在6号酵母を使っている酒蔵は、全国でもそれほどないという。

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