食中毒、実は多い鶏肉由来 焼き鳥も要注意Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

日経Gooday

先ほど、O157は10~100個程度のわずかな菌量でも発症するとお話ししましたが、カンピロバクターはそこまで少ない菌量では発症しにくいのです。ですから、発症している件数としては最多でも、O157に比べ大規模な集団食中毒にはなりにくく、報道もされにくいんですね。

市販の鶏肉の2~6割に付着

――なるほど。カンピロバクターによる食中毒が最も多いことがあまり知られていないように、この菌自体についてよく知らないという人も多いかもしれません。改めて特徴を教えていただけますか。

カンピロバクターによる食中毒は、原因の多くが鶏肉です。その理由は、この菌はニワトリの腸内に特に多く存在しているため、食肉に加工する段階で汚染されてしまうからです。

一般に市販されている鶏肉の約2~6割は、カンピロバクターに汚染されているという調査報告が多くあります。ですから、「鶏の生肉のほとんどには、カンピロバクターが存在しているもの」と思っていただいた方がいいでしょう。

また、この菌は低温にも比較的強いため、冷蔵庫に入れていても、菌が死滅することはありません。増殖が抑えられているだけで、冷蔵庫から出して時間がたてば、菌はまた増えていきます。高温多湿となる梅雨時から夏にかけては、短時間で菌が増えてしまうので、特に注意が必要です。

焼き鳥は焼きたてで食べるか、レンジで加熱を

――鶏肉はそんなに多い割合で、カンピロバクターに汚染されているのですね。では、鶏肉を調理したり、食べたりするときは、どんなことに注意すればいいでしょうか。

まず、鶏肉を生の状態で食べる鳥刺しは、感染のリスクが高いことを覚えておいてください。たとえ新鮮な肉だとうたっていても、「新鮮=安全」というわけではありません。

――鳥刺しでも、表面をあぶっていたり、湯通ししたりしているものはいかがでしょうか。

表面を加熱してあっても、感染リスクはゼロとはいえないのでご注意を。写真はイメージ=(c)Liu Chen-Chia-123RF

生のものに比べれば、感染のリスクは低いといえます。ただ、その場合でも、軽くしか火を通していなければ、菌が完全に死滅しているわけではないので、感染するリスクはあります。

カンピロバクターは基本的には、肉の表面に付着しているので、表面をしっかりと加熱してあれば問題はありません。ただし、その肉を、生肉を扱った包丁やまな板をしっかり洗わずに使って切ったりすると、切り口に菌が付着してしまうので、注意が必要です。ほかにも、見逃されがちな落とし穴があります。例えば、焼き鳥でも食中毒を起こすことがあるんですよ。

――焼き鳥ですか? 焼き鳥は内側まで加熱してあるはずなのに、一体なぜ食中毒につながるのでしょうか。

串に刺した肉と肉の間が、生焼けのように赤くなっていることがありますが、問題はあの部分です。でも、焼きたてを食べる場合は、熱で菌量が少なくなっているので、さほど心配はいりません。もし発症したとしても、食あたりかな?と思う程度の症状で済むことが多いでしょう。ところが、焼いたあとでしばらく時間が経過すると、菌量が増えているので、そのまま食べてしまうと食中毒を発症するリスクがあります。

焼き鳥は焼きたてを食べるのが基本。自宅などに持ち帰って食べる場合は、必ず電子レンジなどで加熱するようにしてください。

――温め直すのが面倒で、ついそのまま食べてしまうこともあるでしょうから、注意しないといけませんね。そのほかにも見落としがちな注意点はありますか。

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