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食中毒、実は多い鶏肉由来 焼き鳥も要注意

Dr.今村の「感染症ココがポイント!」

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

気になる感染症について、がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長の今村顕史さんに聞く本連載。今回取り上げるのは「食中毒」だ。高温・多湿となる梅雨時から夏にかけては、細菌性の食中毒が増える時期。近年は特に、鶏肉に多く見られる「カンピロバクター」による食中毒の割合が上昇しているという。そこで、意外と知られていないカンピロバクターによる食中毒に関する情報を中心に、気をつけたい食中毒予防の落とし穴について解説していただいた。

【ココがポイント!】
●近年はカンピロバクターによる食中毒の割合が上昇し、サルモネラ菌や腸炎ビブリオによる食中毒は減少している
●カンピロバクターは、少量の菌でも発症して集団感染しやすいO(オー)157に比べると、わずかな菌量では発症しにくく、集団食中毒が起こりにくいため、報道される機会が少ない
●市販の鶏肉の約2~6割はカンピロバクターに汚染されている
●焼き鳥は焼きたてを食べるのが基本。冷めたときは必ず加熱を
●ひき肉を使ったものは、中までしっかり火を通す
●野外イベントやレジャーでの「落とし穴」にも要注意

「カンピロバクター」による食中毒がトップに

――細菌性の食中毒といえば、O157に代表される病原性大腸菌を思い浮かべる人が多いかもしれません。実際のところは、どのような食中毒が多いのでしょうか。

では、まずは、細菌性食中毒の発生事件数の割合を示したグラフを見ていただきましょう。厚生労働省が発表している統計資料を基に作成したもので、平成8(1996)年と平成28(2016)年の状況を比較しています。これを見ていただくと、どの原因菌の割合が上昇していて、どれが低下しているのかが一目で分かります。

――このグラフを見ると、2016年はカンピロバクターが圧倒的に多いですね。一方で、1996年に最も多かったサルモネラ菌や、2番目に多かった腸炎ビブリオの割合は低下しています。また、一般によく知られているO157などの病原性大腸菌がこれほど少ないとは意外です。

確かに、皆さんにとっては、病原性大腸菌の一種である腸管出血性大腸菌O157による食中毒の方が、ニュースなどで見聞きする機会は多いでしょう。それは、O157は10~100個程度のわずかな菌量でも発症するので、大規模な集団食中毒を起こしやすいからです。

サルモネラ菌による食中毒は、サルモネラ菌が多く見られる卵に賞味期限を記載するようになったことで減ってきました。また、腸炎ビブリオは塩分を好む菌で、以前は魚に多く見られました。しかし、冷凍技術や搬送方法の進歩などによって、今ではほとんど見られなくなっています。

それらに代わってカンピロバクターによる食中毒の割合が上昇し、2004~05年以降は細菌性食中毒の大半を占めるようになりました。カンピロバクターは鶏肉に多く見られる菌です。ここ数年の間には、肉料理のイベントで、中心部まで火が通っていない鶏肉を食べた人たちが食中毒を発症し、その一部からこの菌が検出されたことで話題となりました。

――その報道は記憶にありますね。ただ、グラフではカンピロバクターが圧倒的に多いにもかかわらず、ニュースとして報じられる機会は少ないように感じるのはなぜでしょうか。

先ほど、O157は10~100個程度のわずかな菌量でも発症するとお話ししましたが、カンピロバクターはそこまで少ない菌量では発症しにくいのです。ですから、発症している件数としては最多でも、O157に比べ大規模な集団食中毒にはなりにくく、報道もされにくいんですね。

市販の鶏肉の2~6割に付着

――なるほど。カンピロバクターによる食中毒が最も多いことがあまり知られていないように、この菌自体についてよく知らないという人も多いかもしれません。改めて特徴を教えていただけますか。

カンピロバクターによる食中毒は、原因の多くが鶏肉です。その理由は、この菌はニワトリの腸内に特に多く存在しているため、食肉に加工する段階で汚染されてしまうからです。

一般に市販されている鶏肉の約2~6割は、カンピロバクターに汚染されているという調査報告が多くあります。ですから、「鶏の生肉のほとんどには、カンピロバクターが存在しているもの」と思っていただいた方がいいでしょう。

また、この菌は低温にも比較的強いため、冷蔵庫に入れていても、菌が死滅することはありません。増殖が抑えられているだけで、冷蔵庫から出して時間がたてば、菌はまた増えていきます。高温多湿となる梅雨時から夏にかけては、短時間で菌が増えてしまうので、特に注意が必要です。

焼き鳥は焼きたてで食べるか、レンジで加熱を

――鶏肉はそんなに多い割合で、カンピロバクターに汚染されているのですね。では、鶏肉を調理したり、食べたりするときは、どんなことに注意すればいいでしょうか。

まず、鶏肉を生の状態で食べる鳥刺しは、感染のリスクが高いことを覚えておいてください。たとえ新鮮な肉だとうたっていても、「新鮮=安全」というわけではありません。

――鳥刺しでも、表面をあぶっていたり、湯通ししたりしているものはいかがでしょうか。

生のものに比べれば、感染のリスクは低いといえます。ただ、その場合でも、軽くしか火を通していなければ、菌が完全に死滅しているわけではないので、感染するリスクはあります。

カンピロバクターは基本的には、肉の表面に付着しているので、表面をしっかりと加熱してあれば問題はありません。ただし、その肉を、生肉を扱った包丁やまな板をしっかり洗わずに使って切ったりすると、切り口に菌が付着してしまうので、注意が必要です。ほかにも、見逃されがちな落とし穴があります。例えば、焼き鳥でも食中毒を起こすことがあるんですよ。

――焼き鳥ですか? 焼き鳥は内側まで加熱してあるはずなのに、一体なぜ食中毒につながるのでしょうか。

串に刺した肉と肉の間が、生焼けのように赤くなっていることがありますが、問題はあの部分です。でも、焼きたてを食べる場合は、熱で菌量が少なくなっているので、さほど心配はいりません。もし発症したとしても、食あたりかな?と思う程度の症状で済むことが多いでしょう。ところが、焼いたあとでしばらく時間が経過すると、菌量が増えているので、そのまま食べてしまうと食中毒を発症するリスクがあります。

焼き鳥は焼きたてを食べるのが基本。自宅などに持ち帰って食べる場合は、必ず電子レンジなどで加熱するようにしてください。

――温め直すのが面倒で、ついそのまま食べてしまうこともあるでしょうから、注意しないといけませんね。そのほかにも見落としがちな注意点はありますか。

 カンピロバクターは肉の表面に付着しているとはいえ、ひき肉などは加工する際に表面の肉が全体に混ぜられます。ですから、ひき肉を使ったつくねや肉団子などは、中までしっかり火を通す必要があります。

――なるほど、表面をしっかり加熱していれば問題ないのは、ひき肉以外の肉の場合で、ひき肉は中までしっかり火を通す必要があるんですね。

そうです。ちなみに中までしっかり火を通すというのは、中心部の温度が75度以上で、1分間以上の加熱を目安にしてください。これは、腸管出血性大腸菌O157による食中毒の予防にもいえることです。腸管出血性大腸菌O157は牛の腸の中に多く見られ、鶏肉と同じように、食肉に加工する段階で汚染されます。そのため、生で食べるユッケやレバ刺しなどは大規模な食中毒の発生をきっかけに禁止されました。

表面をしっかり焼いたレアステーキなら食中毒を発症するリスクは低いですが、同じステーキと呼ばれるものでも、端肉などを結着剤で固めた成型肉を使ったものは、中まで十分に火を通す必要があります。そのほかハンバーグも、中身が赤く焼け残っているものはリスクがあります。

バーベキューでの生焼け、トングの使い回しはNG

――鶏肉や今話に出てきた牛肉といえば、夏祭りや音楽フェスといった野外イベント、キャンプなどのアウトドアレジャーで、バーベキューや串焼きといった形で食べる機会も多いです。注意すべき点はありますか?

一般的に、野外イベントに出店している飲食店は、普段の衛生環境とは異なるうえに、短時間で多くのメニューを提供するため、衛生管理に慣れていない臨時スタッフが調理しているケースもあり、食中毒の発生リスクが高まります。

また、アウトドアレジャーでバーベキューを楽しむときなどは、クーラーボックスに食材を入れていたとしても、取り出せば菌が急速に増えていきます。アルコールを飲んだり、会話を楽しみながら焼いていると、生焼けのまま肉を食べてしまったり、生肉をつかんだトングや箸でほかの食材を扱ったりすることも多くなります。

野外では気持ちも開放的になりますから、食べ物には十分気をつけてください。

――「食中毒かも」と思ったときは、どうすればいいですか?

細菌に汚染されたものを食べたからといって、すべての人が食中毒を発症するわけではなく、そのときの菌量やその人の免疫の状態などによっても発症するリスクは異なります。

カンピロバクターで発症する場合は、原因となるものを食べてから2~5日程度で、下痢やおう吐、腹痛、発熱といった症状が起こります。カンピロバクターによる食中毒は症状が比較的強く、下痢に血液が混ざったり、高熱が出たりすることがあります。また、まれではあるものの、手足のまひのほか、筋力や呼吸機能の低下などを引き起こす「ギラン・バレー症候群」という重い合併症を起こすこともあります。

原因となる菌が何にせよ、食中毒の症状が出ても軽ければ、自然に回復していきます。ただ、下痢やおう吐で脱水にならないように、水分を少量ずつこまめに補給するようにしてください。下痢によって病原菌がより早く排出されやすくなるので、下痢止めの薬はなるべく使わない方がいいでしょう。

小さなお子さんや高齢者は脱水で重症化しやすいため、水分がよくとれていない様子があれば、受診することをお勧めします。大人でも症状がつらかったり、水分が十分にとれないようなら受診を。その場合は、脱水の改善のために点滴をしたり、腹痛やおう吐などの症状に対する治療を行ったりします。

カンピロバクターによる食中毒は、原因となる鶏肉に十分に火を通せば避けられます。お話ししたようなリスクを知った上で、上手に食べていただければと思います。

(ライター 田村知子 作図 増田真一)

今村顕史さん
 がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長。1992年浜松医科大学卒業。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。自身のFacebookページ「あれどこ感染症」でも、その時々の流行感染症などの情報を公開中。都立駒込病院感染症科ホームページ(http://www.cick.jp/kansen/)。

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