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カリスマの直言

企業の不祥事 「生活者投資家」が防ぐ(澤上篤人) さわかみ投信会長

日経マネー

2018/6/25

日経マネー

澤上篤人(以下、澤上) 最近、一流といわれてきたような企業の間でも、欠陥製品やら検査漏れといった信じられない報道が相次いでいる。問題が明るみに出てくる発端は、社員による内部告発が多いとか。その横で、経営を巡っての内部抗争が経営を揺るがしている企業もある。

日本の企業はどうなっているのかといったあたりを、今月は草刈と話し合ってみよう。

■企業経営が緩んでいる?

澤上 企業内のゴタゴタをよく耳にするが、幾つか例を出してくれるかな。

草刈貴弘(以下、草刈) 最近気になったのは、筆頭株主である古河電気工業が持ち分法適用会社UACJの取締役人事について異論を唱えた件ですね。これまでの日本企業のイメージでは、波風が立たないように、調整や忖度(そんたく)が行われてきたというものでしたから。

良い悪いは別にして、結果に対して、ガバナンス(統治)上の問題として批判していることが驚きでした。

澤上篤人氏(撮影:大沼正彦)

澤上 確かに最近は、企業経営全般に対する透明性を問う声が強くなってきた。そして、その先では会社組織をどのように統治・運営しているかにも、社内外から厳しい目が向けられるようになってきた。それが、あちこちの企業であら探しと、その結果としての問題噴出となってきている。

まさしく、草刈の言う良い悪いは別としてだが、一体どこまでやっていいものなのか、どこでブレーキをかけるべきか悩ましいものがある。もちろん、不正やごまかしは論外で、100%排除して当然である。

しかし、あまりに規制やチェックでガチガチに構えると、マイナス面も無視できなくなる。例えば、日本のものづくりの強さにつながっている「擦り合わせ」がギクシャクしてしまう恐れが多分にある。あるいは、各部署の主張が強くなり全体最適への配慮が欠けるようになる。つまり、部分最適の追求で社内がトゲトゲしくなりかねない。

昔からいわれているように、会社運営は重箱の隅までつつかないようにというのも、大事なポイントである。

草刈 もちろん重箱の隅をつつくのはどうかと思いますが、前述の取締役人事や積水ハウスで起こった経営陣の対立や調査報告書の公表の経緯を見ると、透明性は重要だと思います。

外部から俯瞰(ふかん)してみれば、当時の責任者が責任を取らないままでいるとしか見えないと分かるはず。だから、なぜそのような結論に至ったかをきちんと説明できなければ、所詮、密室の中で内輪の論理で決めたとしか思われないわけです。そんなことをしている間に、世界はどんどん進んでいきますし、競争は激しくなっている。そんなことをしている場合じゃないはずなんですが。

会長が長年見てきた中で、このような時期が欧州や米国でもあったのでしょうか。その対策として様々なコードが生まれたとしたら、それによって企業が遊び(ブレーキなどで使われる)や余裕、度量をなくしてしまったといったようなことがあったのでしょうか。

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