とことん実地調査 コンサルと文化人類学の意外な接点本徳亜矢子アクセンチュア・マネジング・ディレクターが語る(下)

筑波大学って自由だなと思ったのは、この間一度も大学に行かなくても、問題なかったことです。夏休みと重なる期間もありましたが、学期中も大学に行かなくても何の支障なく、フィールドワークに集中することができました。思う存分研究に打ち込むには筑波大学は理想的な環境だったと思います。

「学生時代はクジラづけ。経済や経営はもちろん、ITの専門知識など皆無だったのによく採用されたなと、今でも思う」と笑う

4年生の夏も鮎川に住み込みましたが、さらに研究を続けたいと思い、大学院に進みました。大学院時代のフィールドワークの地は千葉県和田町(現南房総市)の捕鯨基地。近くに筑波大学の宿泊施設があったので、そこに寝泊まりし研究を続けました。

大学院1年の時には、捕鯨の研究を続けるなら視野を広げたほうがいいとも思い、小笠原の父島で数カ月ホエールウォッチングの調査もしました。滞在費を工面するため、ユースホステルで泊まり込みで働きながら、空いた時間にホエールウォッチング。捕鯨とは対照的に、クジラに癒やしを求める人の考え方も理解できました。

修士論文では、捕獲制限や世論が厳しくなる中、捕鯨文化の担い手が実はものすごく創意工夫をしながら、時代の変化に合わせて柔軟に対応している現状をまとめました。伝統をただかたくなに守るのではなく、形を少しずつ変えながら大事なところだけは譲らないという姿勢は捕鯨文化に限らず、様々な伝統文化に当てはまることではないかと思います。

2年間の修士課程を修了し、アクセンチュアに就職した。

筑波大学は前身の東京教育大学の流れを組んで、教員志望者が多数派です。私の同級生もそのまま大学に残るか、国家公務員になるか、博物館で働く道を選ぶ人が多く、私のように一般企業に就職する学生は少数派。ですから、就職活動する学生は、私の周りにはほとんどいませんでした。私も大学に残って捕鯨の研究を続けようかとも考えましたが、一方では東京で働いてみたいという思いもあり、就活することにしました。

とはいえ、大学院2年の時も5月から捕鯨基地に行く予定があり、その前に何としても就職活動を終わらせたかったので、早い時期に内定が出たアクセンチュア(当時アンダーセン・コンサルティング)を選びました。アクセンチュアからは3月末ぐらいに内定をもらいました。専門を生かせると思い海運業界への就職も考えましたが、就職を検討した会社は当時、女性総合職を採用していなかったので諦めました。

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