もう一つ、大きな影響を与えたと考えられるのが総務省の動向だ。総務省が開いた有識者会議「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の報告書において、大手3社に対してユーザーの利用実態に合わせた適正な料金プランを提供するよう要請すべき、と書かれている。段階制プランはその意向にも沿っている。
毎月3GBを超えるなら上位プランの方がお得に
実際に3社の段階制定額プランから、データ通信料金のみを抽出してみると、いずれも1GBの通信料が3000円未満に抑えられており、3GBでも4000円以下と、比較的安価に設定されている。あまりデータ通信をしない人達のニーズに応えた内容となっていることは確かだろう。

ではこれらの段階制の定額プランが、各社がこれまで提供してきた小容量の定額プランと比較して、どの程度お得になっているのだろうか。プランによって通信容量や端末値引きの有無などに違いがあるため単純に比較するのは難しいのだが、毎月の通信料に限るなら、おおむね3GBまでの小容量であればある程度安くなることは見て取ることができるだろう。
しかしこれが5GB以上のプランと比べると状況は大きく変わってくる。5GBまでは従来のプランとほぼ同等なのだが、それを超えると大容量の定額プランのほうが明らかにお得なのだ。

特にauの場合、auピタットプランで3GBを超えた場合と、20GBの通信量が利用できる「auフラットプラン20」との料金差が20円しかないため、毎月の通信量が3GBを超えているなら、後者を選んだほうが圧倒的にお得だ。そうしたことを想定してか、ソフトバンクはおてがるプランのデータ通信量上限を3GBに設定しており、大容量プランとの明確な差異化を図っているようだ。なお、各社の段階制プランでは、通信量が上限に達した場合は、これまでのプランと同様に通信速度が低下する仕組みとなっている。



ゆえに3社の段階制の定額プランは、毎月の通信量が3GBを超えているかどうかが大きな分かれ目となっていることが分かる。ここで考えたいのが、通勤時など外出先でどのくらい動画を見るかということ。画質にもよるが映画1本で1GB以上を消費することも多い。逆に外出先で動画をほとんど見ないなら毎月の通信量は3GB以内に収まるはずだ。もし外出先でも動画を満喫したいなら、より上位のプランに乗り換えて大容量通信を心ゆくまで楽しんだほうがお得といえるかもしれない。