スピーカー内蔵枕 動画やゲームで臨場感たっぷり
「HUMU」(フームー)は、簡単に言えば「Bluetoothスピーカー内蔵の枕型クッション」だ。スマートフォン(スマホ)などとBluetoothで接続して、音楽などを再生できる。振動板も内蔵していて音を体で感じられるという。スピーカー内蔵クッションは以前からあるが、Bluetooth対応のものは少ない。物珍しさから借りて一カ月ほど使ってみたらこれが面白かった。
頭が音と振動に包まれる感覚が楽しい
HUMUは、見た目は枕そのものだ。カバーと中身のスピーカー部分で構成されていて、カバーの色違いで2モデルある。硬そうに見えるが結構軟らかく、寝てみると頭が自然に沈み込む感じだ。高さはあるが、普通に睡眠用に使える。カバーは外して洗えるが、きつくはまっていて外すのが少し面倒なので、枕カバーやタオルなどをかけて使うほうがよさそうだ。
スマホとの接続は一般のBluetoothスピーカーと同じで、特に戸惑うところはない。一度ペアリングすると、あとはボタンを押して起動すればスマホから音を飛ばしてワイヤレスで鳴らせる。充電式で、3時間の充電で8時間使用可能となっている。
セットアップが終わり、期待に胸を膨らませながら寝転がり、スマホの音楽プレーヤーをスタートした。すると、下から湧きあがってくる音に頭が包まれる感覚で、これが楽しい。色々な音源を色々な音量で聴いてみたが、音質もなかなかだ。耳との間にクッション材があるためかクリアさにはやや欠けるが、ソリッドな塊感のある音で厚みや迫力は十分だ。
そして音が鳴るだけでなく、振動もビリビリと伝わってくるのが面白い。それほど強烈に振動するわけではないので、聴きながら心地よく寝落ちできる。
音量を上げて頭を空っぽにしてゴリゴリした音楽を楽しむのもいいし、小さめの音量でリラックスできる音楽を流しながら眠りにつくのも気持ちがいい。欲を言えばもっと派手に振動するモードがあればより楽しめそう。スピーカー内蔵クッションはアリだと思った。
Bluetooth接続で、スマホからワイヤレスでコントロールできるのも良い点だ。HUMUはオーディオケーブルによる有線接続でも使えるが、有線接続は寝返りをうつときにケーブルと端子をへし折ってしまうのではないかと心配になる。ワイヤレスが正解だ。
毎晩これで寝ているうちに、音楽だけでなく、スマホで動画やゲームを楽しむときにも向いているだろうと思った。スマホのスピーカーは音がイマイチだし、ヘッドホンやイヤホンは寝返りをうつときに邪魔だ。
寝ながらのスマホゲームや動画に最適
そう思ってHUMUを使って、スマホでいろいろな動画を見たりゲームで遊んだりしてみたが、これは大正解だった。動画やゲームの音声が耳元で鳴るので臨場感はかなりのもの。この、耳元から少しだけ離れた位置から人の声が聴こえてくる感覚には、イヤホンやヘッドホンでは味わえない独特の空気感がある。ネットの動画配信サービスやスマホゲームを利用することが多い人におすすめだろう。
ただし、寝転がってスマホを手で持ち続けていると腕が疲れてしまう。寝ながら手ぶらでスマホを使うためのスタンドがいろいろ発売されているので、そうした製品と組み合わせて使うのが正解かもしれない。VRゴーグルと組み合わせてVR動画を見るのもよさそうだ。
最初は寝転がって普通に枕として使っていたが、クッションとして椅子やソファーと組み合わせて使ってみても面白かった。椅子の背もたれと腰の間に挟むように置いて使うと、これまで聴いたことのない角度から音が聴こえてくるのが新鮮だ。それに振動が腰にきて気持ちがいい。機能とは関係ないが、こうして使うと背筋が自然に伸びて腰痛が少し楽になる。
ほかにない音響体験が楽しい
HUMUは、かなり便利に使える面白い機器だ。枕型Bluetoothスピーカーとして、音楽を聴きながらリラックスして眠るのにも使えるし、テレビと接続してその音声を耳元で聴くのにも使える。そしてスマホ動画やゲームとの相性がいい。イヤホンでは味わえない臨場感が楽しめる。
とはいえ気になる点もあった。駆動時間が8時間というのはBluetoothスピーカーとしては短めだ。毎日のように充電するのは結構面倒くさい。もう少し長いバッテリー駆動時間や、急速充電機能が欲しいところだ。
ちなみに特定の年代の人は、これを見て睡眠学習の機械を思い出すだろう。雑誌の裏表紙などによく載っていた、テープレコーダーを内蔵した枕型の機械だ。無駄だと思いつつ、もちろんチャレンジしてみた。録りためたラジオの英会話を流しっぱなしにして寝てみたが、翌朝もちろん何も頭に入っていなかった。
(ライター 湯浅英夫)
[日経トレンディネット 2018年6月4日付の記事を再構成]
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