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カリスマの直言

企業統治、改定指針が迫る脱日本的経営(安東泰志) ニューホライズンキャピタル取締役会長

2018/6/18

企業の取締役は本来、株主の利益を守るべき存在だ
「東証の企業統治指針の改定で、筆者が何といっても注目したのは取締役会に経営トップの適切な選解任を求めた点だ」

東京証券取引所は6月1日、上場企業に企業価値の向上を求めるコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の改定版を公表した。2015年の指針導入後初となる今回の改定は、企業に対して資本コストを意識した経営、互いに株を持ち合う政策保有株の縮減、年金との対話を促すなど多岐にわたる内容となっている。その中で筆者が何といっても注目したのは取締役会に経営トップの適切な選解任を求めた点だ。

それが端的に表現されているのが、新たに加えられた以下の2つの項目だ。少し要約して説明すると、

1つ目は「取締役会による最高経営責任者(CEO)の選解任は、会社における最も重要な戦略的意思決定であり、取締役会はCEOとして客観性や透明性のある手続きに従い、十分な時間と資源をかけて資質を備えた人物を選任すべき」(補充原則4―3(2))だ。

■取締役会の責務は適切なトップの選解任

2つ目は「取締役会は会社の業績などの適切な評価を踏まえ、CEOがその機能を十分発揮していないと認められる場合に、解任のための客観性や透明性のある手続きを確立すべき」(補充原則4―3(3))だ。

つまり、取締役会は最も重要な責務として客観的で透明性のある手段で経営トップの適切な選任を行い、トップが期待通りの成果を発揮しない場合は客観的で透明性のある手段を通じて速やかに解任すべきだということだ。

日本企業のトップの選解任や幹部の人事は内輪の論理が幅を効かせる、いわゆる「日本的経営」が色濃く反映されていた。多くの会社員にとって、取締役は出世すごろくの「上がり」というイメージだろう。終身雇用が当たり前だった日本の会社には「会長に物を言わない人間が社長になり、社長に物を言わない人間が取締役になり、取締役に物を言わない人間が部長になり……」という構図があった。

■日本的経営は海外投資家に不評だった

外部にはわかりにくく、特に海外投資家には不評だった。そうした日本的経営風土が、上に物が言えない雰囲気をつくり出し、東芝、オリンパス、神戸製鋼所などの不祥事につながったのではないか。

しかしながら本来、取締役は株主の利益を守るべき存在だ。社内論理で選ばれた取締役は株主にとって最善の人物だろうか。ましてや、会社のかじ取りを担う社長は、単に前任者のお気に入りでいいのだろうか。

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