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退職後は運用しつつ引き出す 「タコ足投信」悪くない

日経マネー

2018/6/21

この金融資産からの引き出し額を、持っている資産に対する比率で考え、引き出し率を計算します。例えば、資産からの引き出し額が毎月10万円、年間120万円で、保有資産が3000万円であれば、引き出し率は年4%です。

この比率を固定して、運用の結果に応じて引き出し額を決めていくのです。例えば資産が3500万円に増えればその4%に当たる140万円を引き出し、2500万円に減ったら年間100万円しか引き出さないという具合です。

出所:フィデリティ退職・投資教育研究所、手数料・税金は考慮せず

引き出しを「率」で考えるようになると、一つ楽になることがあります。それは運用収益率との比較が容易になることです。

例えば、引き出し率を4%と設定すれば、それを前提にどう運用をすればいいのか考えやすくなります。運用収益率を2%で設定すれば、平均して毎年2%ずつ資産が減っていく形になります。運用収益率を3%で設定すれば毎年平均して1%ずつ資産が減っていくわけです。

60歳で保有資産が3000万円あるとして、その資産が毎年1%ずつ減っていくとすると、15年後の75歳の段階でも資産は2580万円残る計算になります。減ってはいますが、さほどでもないという感じがしませんか。D世代の資産との向き合い方は、資産運用と引き出しを共に「率」で考えるという一工夫が必要になるわけです。

分配金がこうした形で変わる投信は、残念ながら今のところありません。そこで必要な年間引き出し額が大きく変化してもいいように、分配金は十分に少ない額に固定し、その差額を資産から別に引き出すようにするのです。毎年の必要額を、分配型投信の分配金に追加して、元本から引き出すことを考えてみましょう。

野尻哲史
フィデリティ退職・投資教育研究所。一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て2006年にフィデリティ投信入社、07年から現職。アンケート結果を基にした資産形成に関する著書や講演多数。

[日経マネー2018年7月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年 8 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 750円 (税込み)


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