退職後は運用しつつ引き出す 「タコ足投信」悪くない

日経マネー

イラスト:小迎裕美子

さて、D世代のお金との向き合い方は、「資産を引き出して使うこと」にほかなりません。しかし、ただ使っていってしまうだけだと、あっという間に資産が枯渇します。前回でもまとめた通り、今や人生設計では100年を想定した視点が求められます。そのためにはいかに資産の寿命を延ばして自分の人生よりも長く持ちこたえられるようにできるかが重要なのです。

そこで資産の減り方を抑制するために、「運用しつつ引き出す」のが大切になります。前回説明した通り引き出すという機能は、金融庁が2017年11月に出した行政方針の中で金融サービスの一つとして認められています。D世代は運用だけではなく、引き出しも合わせて考えねばなりません。ここで重要なのは、資産をさらに増やす必要はなく、資産が減っていくこと自体は容認するという点です。

もう一度、毎月分配型投信への批判を考えてみましょう。「原資を分配金として払い戻してしまうことは、投資として容認できない」というものでしたが、実はD世代のお金との向き合い方では、投資の原資を生活費として引き出していくことが求められているのです。雑な言い方かもしれませんが、あえて「タコ足」をしようということです。

イラスト:小迎裕美子

銀行に預金をしてそこから引き出すよりは、投資信託で運用しながらそこから引き出す方がよほどいい方法だと思いませんか。

毎月分配型投信にはもちろん課題もあります。分配金が資産残高の変動に合わせて増減するようにできていないことです。相場が下落して資産残高が減っている時に一定額の分配金を出し続けると、想定以上に元本が毀損するのです。

これをいかに食い止めるかが大きな課題です。多くの投資家が分配金の引き下げを運用の巧拙と結び付けてしまうことから、運用会社も販売会社も分配金の引き下げにちゅうちょし、それが悪い結果につながってしまっているのです。

D世代の引き出しについても同じことが言えます。D世代は毎月、あるいは毎年、一定の金額を引き出すよりは資産の変動に合わせて引き出し額を変化させる方が合理的な行動なのです。

引き出し額はどう考える

ではどうやって引き出し額を考えるのがいいでしょうか。まず生活費を想定して、そのうちどれくらいを公的年金と勤労収入でカバーできるのかを考えます。そして残りを資産から引き出すと考えると、引き出し額が見えてきます。すなわち、「退職後の生活費=公的年金+勤労収入+金融資産からの引き出し額」と言えるわけです。

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