毎月分配型の投資信託への批判が続いています。その理由が「タコ足」配当です。これはタコが自分の足を食べてしまうように、毎月分配型投信が原資を分配金として払い戻すことを指しています。
つまり、原資を引き出してしまうのは、「そもそも資産形成のための投資として容認できない」ということなのです。確かにせっかく資産を作ろうとする時に、収益であろうと原資であろうと、資産形成に回した資金を引き出してしまえば、複利で運用するという資産を増やす力をそいでしまいます。
しかし、毎月分配型投信を「運用しながら資金を引き出す」機能がある金融商品として考えると、これはまさしく退職後の世代にとってはニーズに合った金融商品とも言えるのです。運用しながら引き出すという機能は、資産の減り方を抑制するためには非常に重要な方法だからです。その点を少し考えてみましょう。
「タコ足」をする重要性
お金との向き合い方を2つの局面に分けて考えてみましょう。退職後の資産を作る「資産形成世代」と、退職した後に資産を活用しながら引き出す「資産活用世代」です。それぞれの英訳の頭文字を取って、それぞれを簡単にA世代とD世代と呼ぶことにします。
すなわち、A世代は山を登る世代で、D世代は山を下りる時代です。50代後半や60代前半の人は山の頂上近辺にいて、これから山を下りる世代を迎えるということになります。
山登りでは、登るより下りる方がケガをしやすいといわれます。資産形成でも同じように、D世代の方がA世代より慎重で十分な計画を立てたお金との向き合い方が求められるのです。