オリパラ

スポーツイノベーション

富士通がもくろむ体操革命 複雑な技もAIで自動採点

2018/6/14 日本経済新聞 朝刊

レーザー光を高速で連続照射し、反射して帰ってくる時間から立体形状を捉える

 「史上最もイノベーティブな大会」をビジョンに掲げる2020年東京五輪・パラリンピックでは、あらゆる場面で最先端技術が活躍する。デジタル・データ化の波が押し寄せるスポーツ界も同様。五輪の花形競技である体操競技では、人工知能(AI)も活用した自動採点への挑戦が進んでいる。

 「世界をあっと驚かす五輪にしたいじゃないですか」。富士通の藤原英則スポーツイノベーション推進統括部長がこう力を込めるのが、同社が20年の実用化を目指して開発を進める体操の自動採点支援システムだ。

人間の感覚と知識に基づく採点規則をデジタル化する

 核となる技術は3D(3次元)センシング。1秒間に230万回ものレーザーを対象物に照射できる。レーザー光が反射して返ってくるまでの時間から対象物までの距離を測定し、その立体形状を捉える。

 同社がリハビリ向けに開発を進めてきた骨格認識ソフトと組み合わせることで、手足の位置や関節の曲がり具合を把握できる。こうしてリアルタイムで得た演技(動き)のデータを、競技規則にある「技」や「正しい姿勢」と照合することで採点するという仕組みだ。

■18年秋の世界選手権で検証

 富士通が採点システムの開発に乗り出したのが15年。以来、着々と進めてきたのが、採点の基準となるデータベース「技の辞書」づくりだ。毎年、世界選手権から国内主要大会、強化合宿などに出向き、膨大な量の3Dデータを集めてきた。

 完璧に近い技から減点される技まで様々なデータを読み込ませ、どういう条件を満たせば技として「成立」なのかを機械学習させる。いわば辞書をどんどん賢くさせる作業だ。「パターンは多ければ多いほどいい。辞書にゴールはない」と藤原氏は言う。

 技の辞書は「倒立」「前方宙返り」「1回ひねり」といったエレメント(基本動作)単位でタグ付け、格納されている。現在、採点規則にある技は男子が6種目で819、女子が4種目で549。これらの技を辞書に収容するために「分解」したところ、すべての技は男子475、女子318のエレメントの組み合わせであることがわかった。富士通による「発見」で、国際体操連盟(FIG)も驚いたという。

オリパラ新着記事

ALL CHANNEL