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「ネッシー不在」を1年以内に証明? 環境DNAの威力

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ナショナルジオグラフィック日本版

英国スコットランドのネス湖。未確認生物ネッシーがすむとして有名な湖だ。今回、科学者チームが、ネス湖の水に含まれているDNA断片の配列を片っ端から決定することで、この湖にネッシーがすんでいる(あるいはすんでいた)かをめぐる論争に決着をつけようとしている。

ニュージーランド、オタゴ大学の遺伝学者ニール・ジェメル氏が率いる国際研究チームは、2018年4月からネス湖の水のサンプルを採取していて、6月からはサンプル中に含まれるDNAの抽出に着手する。彼らの目的の1つは、ネッシーの遺伝子探しだ。

調査結果は2019年1月までに発表される予定だが、このプロジェクトは「環境DNA(eDNA)」にスポットライトを当てることになるだろう。環境DNA分析は比較的新しい研究分野で、これまでにない洞察をもたらすことが期待されている。

ネス湖のプロジェクトがどのようなものなのか見ていこう。

環境DNAとはなにか

生物は日々、皮膚のかけら、糞(ふん)、卵、精子などを環境に落としながら生きている。これらのゴミには生物のDNAが含まれていて、周囲の水や土に混ざってゆく。つまり、1本のガラス瓶に採取した土や水が遺伝子ライブラリになっているのだ。

生物の個体から直接採取されたのではなく、環境の中にあるこうしたDNAは、環境DNAと呼ばれる。科学者は土や水からDNAを取り出し、塩基配列を解読し、既知のDNAの塩基配列のデータベースと比較して、それを残した生物を特定できる。

近年、DNAのデータベースは爆発的に拡大しており、配列解読のコストも激減している。米国立衛生研究所(NIH)が運営する巨大なDNAデータベースGenBankに登録されているDNAの塩基配列データは、1982年以降、18カ月ごとに倍増している。現在では、塩基配列では2億以上、塩基対の数としては260兆を超えるデータが蓄積されている。もしデータベースにない生物のDNAがある場合、その種を特定できずとも、未知の生物がいるかどうかははっきりする。

環境DNAは科学の役に立つ

生態系全体のスナップショットをいちどに得られる環境DNA分析は、非常に強力な技術だ。

「想像してみてください。生態系から土か水を採取するだけで、そこに生息するすべての生物種のカタログを作れるのです」。オタゴ大学のジェメル氏の研究室に所属するヘレン・テイラー氏は、2017年にブログで環境DNAについてこう述べた。「そこにいるすべての生物を研究室に持ち帰って顕微鏡下で同定するようなサンプリングは、もはや必要ありません」

環境DNA分析からは、すでに数々の大発見が生まれている。2011年には、アジア産のコイのDNAがシカゴ周辺の運河で確認され、侵略的外来魚が五大湖まで広がろうとしていることが明らかになった。2016年には生物学者がカタール沖の海水を採取し、ジンベエザメの巨大な群れの集団遺伝学的研究を行った。2017年には、スペイン、ロシア、ベルギーの洞窟の土からネアンデルタール人のDNAが見つかったという発表もあった。

そして現在、ナショナル ジオグラフィック協会のチームは、1930年代に行方不明になった米国の女性飛行士アメリア・イアハートが不時着して死亡したと考えられている南太平洋のニクマロロ島で、採集した土から環境DNAを抽出し、彼女のDNAが含まれていないか確認しようとしている。

環境DNAとネッシー

ネッシーがすんでいるとされるネス湖は、スコットランド北部の深い淡水湖で、1万年以上前に氷河の作用によって形成されたと考えられている。この湖で未確認動物を目撃したという証言が何十年も前から相次いているが、科学者たちは、首の長い大型爬虫(はちゅう)類という典型的なネッシーの姿から考えて、本物とは考えられず、でっち上げだとしている。

一部の未確認動物学者は、ネッシーは首長竜だと主張してきた。首長竜は恐竜時代に生息していた海生爬虫類だが、化石記録から、今日の鳥類につながる種以外の恐竜と同様、6600万年前には絶滅していたことが強く示唆されている。

たとえ首長竜が今日まで生き残っていたとしても、ネス湖にすむのは難しいだろう。生態学的研究から、ネス湖には体重約900キロの首長竜の繁殖集団が生きられるほど餌になる魚がいないことがわかっているからだ。

ネッシーの目撃例のいくつかは、たまたま迷い込んできたチョウザメか、だれかが放流したヨーロッパオオナマズだったのではないかと言う人もいるが、どちらの魚もネス湖で捕獲されたことはない。

ネス湖プロジェクトを率いるエイドリアン・シャイン氏は、「The Skeptic」誌へのメールで、「ネス湖では、私のお気に入りのチョウザメがいる証拠も、ヨーロッパオオナマズがいる証拠も見つかっていません」と説明している。「チョウザメ説もヨーロッパナマズ説も、ネス湖に不思議な生物がいる可能性が小さくなり、魚に注目が集まる中で出てきたものです」と言う。

もしネッシーが見つからなかったら?

もしネッシーが見つからなかったら環境DNAのプロジェクトが無駄になるかというと、そんなことはない。ジェメル氏の研究からはネス湖全体の生態系の遺伝子プロフィールが得られる。そこからなにが見つかるにせよ、環境DNA分析は便利なものだ。たとえば近年、侵略的外来種のサケがネス湖に入り、在来種を脅かしているが、環境DNAは、その監視に役立つだろう。

急速に発展する科学の分野で、世間に広く知られることは非常に重要だ。テイラー氏は2017年に、「自分が所属する研究室の主宰者がネッシー探しに参加することに、私は疑問を感じていました」と記している。「けれどもその後、環境DNAのすばらしい可能性を宣伝するのにうってつけのやり方であることに気づきました」

(文 Michael Greshko、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2018年5月25日付]

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