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老後破産「貯金簿」で防ぐ 節約・運用で資産長生き 自宅の修繕費など特別支出にも備え

2018/6/17

■節約、収支改善の効果大きく

金融資産残高の推移を把握したら「節約」「収入増」「運用」に取り組む。このうちFPが「効果が大きい」と口をそろえるのが節約。長期にわたり着実に収支改善の効果が出る。FPの鈴木氏は「保険や自動車関連など固定費を見直したい」と話す。保険料や自動車税の負担を抑えれば資産が減るペースは緩くなる。

年金以外の収入も増やしたい。企業に65歳までの雇用が義務付けられ、60歳の定年後も仕事をする人は増えている。体力的には限界があり長期の収支改善につながりにくい側面はあるが、「月1万円前後でよいので、70代も働いて収入を得たい」(鈴木氏)。

そして運用。年率3%の運用が長期で実現した場合、金融資産が減るペースは当然、緩くなる。「標準家計」「支出多い」家庭に当てはめると、運用しない場合と比べて10年遅い88歳まで資産はプラスを維持する。もっとも、「運用3%」は目標にすぎず元本割れの可能性もある。FPの中井恵美子氏は「老後は高いリスクをとるべきではない。低リスクの商品に絞るか、定期預金など元本保証型でも構わない」と助言する。

■住まいの維持・管理など特別支出を想定

特別支出を想定しておく必要もある。例えば自動車はいつまで保有するのか、旅行やレジャーにどのぐらいのお金をかけるのか、子供の結婚費用を援助するのかといったことを長期の収支計画に組み入れておく。

見落としがちなのが住まいの維持・管理にかかる費用。住宅問題に詳しいFPの黒須秀司氏は「戸建ての場合、10年に1度の外壁塗り替え、30年に1度の屋根のふき替え、20~30年に1度の水回りの管理が必要」と指摘。これらのリフォームをすべて実施すると、延べ床面積100平方メートルの木造一戸建てで計850万円前後は必要という。また、マンションは古くなるにつれて修繕積立金が上昇する傾向がある点に要注意だ。

定年後は現役時代に比べ、手元資金を増やしにくい。信用力が低下し、高額のローンを組むのも困難になる。今のうちに家計を見直して老後の蓄えを増やし、金融資産の残高がゼロになる時期をできるだけ先延ばししたい。

(南毅)

[日本経済新聞朝刊2018年6月9日付]

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