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犯罪前兆に6・3・2の法則 夏の子供守るパトロール

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日経DUAL

子どもがターゲットになる犯罪はこの20年横ばいで減っていません。共働きとしては子どもの防犯は常に気になるところ。私たちはどのようにして、子どもを守っていけばよいのでしょうか。そんな悩みに答えてくれるのが、ご自身も2児の母親で、子どもの安全研究活動を手掛けているステップ総合研究所の清永奈穂さんです。

清永さんは「子どもたちが、自分の命を守る力が十分でないうちは大人が守る。けれども、やがては自分で自分を守り、友達や周囲の人も守れる力=安全基礎体力を身に付けてほしい」という思いで、各地の小学校や幼稚園・保育園などで体験型の安全教室を開いています。

そこで、清永さんに大人が子どもをどう守るのか、という視点から、身近な防犯活動の一つであるPTAの安全パトロールについてお伺いしました。

◇  ◇  ◇

意味のある安全パトロールにするには?

PTA活動の一つとして保護者による安全パトロールを実施している小学校が数多くあります。安全パトロールは事故や怪しい人からわが子と地域の子どもたちを守る大事な活動。この考え方は誰もが理解しています。とはいえ、パトロールするポイントがはっきりしていないため、当番が回ってきても保護者同士でおしゃべりしながら歩いているうちに何となく終わってしまうということもありませんか? 働いていると、パトロールできる時間が休日や早朝、夜になることもあります。そのため、「パトロールに意味はあるのだろうか」、こんな疑問を抱いている人もいるようです。

清永さんも「確かにただ漠然と歩いているだけでは意味がありません」と言います。「これから地域で何か悪いことをしようとしている人が、そんな様子を見たら、『何も見ていないパトロールだな、悪いことをしやすい地域だな』ということが明らかになってしまうでしょう。でもちょっとの工夫で意味のあるものにできます」と言います。

「子どもを狙っている人は『人の目』と『音』を嫌います。地域を歩き回る『人の目』があり、『何をやっているのですか』という『声』があれば、その場所で犯行に及ぶことは避けるでしょう。過去に事件が起きた現場の周辺を見ると、安全パトロールが適切に行われている場所や、見守りの人が立っていたところでは犯罪が起きていませんでした。安全パトロールには犯罪を抑止する効果があり、実施する意味はあるのです」と清永さん。

「そのためには闇雲に歩くのではなく、怪しい人が好む場所をきちんとチェックすることが必要です。『私たちはちゃんと見ています』という威嚇効果のあるパトロールにすることがポイントです」と清永さんは強調します。

では具体的にはどのようにパトロールを行うとよいのでしょうか。

安全パトロールは子どもを狙っている人が好む場所を点検する

清永さんによると子どもを狙っている人が好む場所は、次の3つなのだそう。

・子どもに近づきやすい場所

・犯行に及んだときに逃げやすい場所

・悪いことをしやすい と直感的に思わせる場所

「パトロールではこの3つを柱に次のポイントをチェックしていきましょう。1回のパトロールですべての項目を見るのが難しいときは、今日は『子どもに近づきやすい場所』、次は『逃げやすい場所』など見る場所を絞ってかまいません」

●パトロールの方法
人数/2~4人。先頭を歩く人、目をかける人、声をかける人、記録する人というように役割分担を決める。
時間/子どもが一人になることが多い放課後の15~18時が最適。ただし、いつも同じ時間にパトロールしていると子どもを狙っている人にパトロールの時間を予測させてしまうので、時々違う時間にするなど不規則に行ってもよい。
着用するといいもの/防犯の腕章やベスト
持ち物/パトロール用のチェックシート、筆記用具、防犯ブザー(非常時に備えて)
視線を置くところ/視野を広く持ち、20mくらい先を見るようにする。

パトロール時の心構えとしては「不審者を捕まえようというより、『前兆を捉えよう』という気持ちでいてください。黙って怖い顔をして歩く必要もありません。おしゃべりしてもかまわないのですが、せっかくなら周囲に目を配りながら防犯のことを話題にしながら歩きましょう」と清永さん。

●パトロールのチェックポイント
【子どもに近づきやすいのはこんなところ】
・通学路
・子どもを待っている間に身を潜めやすく、隠れやすい場所(空き家や自動販売機の陰、駐車場に止めてある自動車の陰や間、ちょっとした窪みがあるところなど)
・木や雑草が生い茂って周りが見えにくくなっている道路や公園、大きな建物
・人がすれ違うのにやっとの狭い道路
・明かりの少ないところ。あってもポツンと明かりがついているところ

 上記はチェックポイントの一例です。怪しい人がいた形跡がないかも同時に点検しましょう。例えば、ターゲットになる子どもを探したり、待ち伏せしたりするなどで誰かが長時間とどまっていた場合は、そこにたばこの吸い殻や空き缶などのゴミが散らかっていることがあります。

【逃げやすいのはこんなところ】
・どの方向にも逃げられる大小の道がぶつかっているところ
・朝夕は人通りがあっても、ぱったりと人気が途絶える時間がある場所

 子どもをターゲットにするような人は小道に入ったところで悪さをします。そして、ささっと大きな通りに出て、何食わぬ顔で逃げていけるような場所を好みます。

【悪いことをしやすいのはこんなところ】
・道路にゴミが散乱している
・落書きや放置自転車がある
・防犯ポスターなどの掲示物が汚れている、はがれかけている、古くなっている

 街が雑然として汚れているのは住民が地域に関心のないことを象徴し、子どもを狙った不審者のほか、空き巣やひったくりなどの犯罪が増える傾向があります。

【「この子はいいぞ!」と直感的に思われやすい子の特徴】
・一人でいる子
・いやなことは「イヤ!」とはっきりきっぱり言えない子
・注意力のない子、ウロウロ、キョロキョロ、チョロチョロする子

6・3・2の法則をチェック 防犯メールが増えたらパトロールを強化

「子どもを狙った犯罪などが起きる前には、 様々な犯罪や、犯罪には至らないまでも、その行為者に指導や警告などの措置が取られる『声かけ』や『つきまとい』などを含めた、前兆事案が発生します。地域で前兆事案が発生すると学校や自治体から防犯メールが配信されるので、必ず登録しておきましょう」と清永さん。

「その頻度が学区内で半年に6回、1カ月に3回、1週間に2回に増えてきたら『ここでは悪いことをしやすいなと』犯罪企図者が集まりやすくなっているサイン=前兆だと思いましょう。 私たちはこれを『6・3・2の法則』といっています。このようなときは、パトロールにも緊張感を持ち、同じ道を逆方向からたどってみるなど、見回りを強化するようにしてください。また、町内会の掲示板などで他の罪種の犯罪の発生状況をのチェックすることも有効です」

パトロールはとにかく継続することが大切です。「そのためにはいつも緊張していては続きません。普段のパトロールはリラックスした気持ちで歩くなど緩急をつけてください」と清永さんは言います。

●怪しい人を見たときは
【声をかけるときは4m以上離れたところから】
・学校と自治体には必ず連絡を入れて情報を共有し、地域全体で怪しい人に目を光らせる
・怪しい人から少し離れたところで110番する
・暗闇にたたずみ、子どもをじっと見ている不審者がいたら、すぐ警察に知らせる
・バス停や駅のホーム、電車の中などで子どもをじっと見ている不審者がいたら、駅員や鉄道警察に知らせる
・緊急性がなくても気になるときは♯9110(生活の安全に関する不安等の警察の相談窓口)へ連絡を入れるとよい

 パトロール中に怪しい人がいたら『どうしたのですか』などと声をかけるようにします。ただし、近寄り過ぎてはダメ。人間のテリトリーである4mは離れておくと安心です。もっと近づく必要がある場合でも、大人の腕2本分(相手の身長×0.8)は離れておきます。
 相手が一歩前に出てこちらの腕をつかもうとしても、この距離なら届きません。怪しいなと思ったときはそれ以上、近寄らずに引き返し、少し離れた場所から安全を確保したうえで110番します。または近くの通行人に『怪しい人がいるのですが』と声をかけて、連携するようにしましょう。
 万が一、危険を感じたときは防犯ブザーを鳴らして相手に投げつけるのも身を守る手段です。

瞬間ボランティアとして子どもと街に目を配る

「共働きをしていると日中のパトロールは難しいかもしれません。でも、とっさの時に自然にお節介を焼く『瞬間ボランティア』という方法があります。通勤途中や学童・保育園の送迎時、買い物の行き帰りなどに、街に変わったことが起きていないか、アンテナを立ててみてください。困っていそうな子、遅い時間に街を歩いている子がいたらちょっと声をかける。怪しい人がいたら、安全な距離を確保したうえで、二度見するだけでも、効果はあります」と清永さん。

「もしも気になることがあれば、地域やPTAで共有しましょう。緊急性があると思ったら110番、そこまでではないかもと思ったら地域の警察署や♯9110番(生活の安全に関する不安等の警察の相談窓口)に連絡するとよいでしょう」と清永さん。

実は清永さんの身近でもこの瞬間ボランティアで、連れ去り事件を防ぐことができたことがあったのだそう。

「コンビニへ行く途中の女の子が車に乗った男性に声をかけられ、連れ込まれそうになるという事案がありました。近くにいた近所の人が不審に思い、女の子に『その人、知り合い?』と声をかけたところ、男性は車に乗り込んで、そのまま走り去り、事なきを得たのです。まさに瞬間ボランティアのナイスプレーでした」と話す。

この話にはさらに続きがあります。「女の子から話を聞いた保護者は警察に通報したのですが、女の子はこの不審者の靴の色を見ていました。その靴の色が手掛かりとなり、不審者を特定することができたのです。被害を知ったらすぐに通報する、子どもから情報を聞き出すことも大切です」という。

瞬間ボランティアの場合も、見るべきポイントは安全パトロールと同じです。「夕方から夜の場合は、学童クラブや塾帰りの子が外にいる時間です。自分の子でなくても、一人で歩いている子がいたら、よく注意してあげてください」と清永さん。

「PTAがパトロールを行う一番のメリットは、地域の中でそれを次の世代に引き継いでいけることです。子どもたちが学校を卒業した後も、ぜひ、瞬間ボランティアとして地域に目を配ってあげてください。それが地域全体を犯罪から守ることにつながっていくでしょう」と清永さんは強調する。

●困っている子、困っていることに陥りそうな子には
・一人で歩いている子がいたら、「気を付けて帰ってね」とひと声かける
・その子の姿が見えなくなるまで目を掛け、見守る
・怪しい人にじっと見つめられている子がいたら「気を付けてね」と声をかける
・怪しい人物がいなくなるまで子どもを見守る
清永奈穂
 ステップ総合研究所所長・NPO法人体験型安全教育支援機構代表理事。元警察庁科学警察研究所犯罪予防研究室長でステップ総合研究所特別顧問の清永賢二氏と共に、犯罪やいじめ、災害からどうやって命を守るかを研究している。子どもが犯罪に巻き込まれた現場に足を運び、元犯罪者に話を聞くなどして犯罪がどのように起きたか、どうしたら防げるかを科学的に検証し、全国で行う体験型安全教育に反映させている。海外の安全教育についても詳しい。家庭では一男一女の母。著書に『犯罪からの子どもの安全を科学する―「安全基礎体力」づくりをめざして』(共著・ミネルヴァ書房)など。

(ライター 小山まゆみ、構成 福本千秋=日経DUAL編集部、撮影 花井智子)

[日経DUAL 2018年5月9日付記事を再構成]

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