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京都大学の山極寿一総長

京都大学の山極寿一総長

「インターネットの世界にこもらず、外へ出て、おもろいチャレンジをしよう」。京都大学の山極寿一総長は、学生たちにそう語りかける。根底にあるのは、ゴリラ研究の第一人者として長年フィールドワークを続けてきた自身の経験だ。リーダーには、「直観力を磨き、人を感動させる力が必須」とも。その言葉の意味するところとは。(前回の記事は「大学はジャングル」 京大総長のゴリラ流リーダー論

最悪の失敗をしなければなんでもあり。「おもろいこと」に挑戦せよ

――総長になって、新しい体験型の海外渡航支援制度「おもろチャレンジ」をはじめました。

「これは従来の海外留学とは違って、学生が自ら渡航先や、そこで何をするのかをゼロから計画し、自分の責任で交渉もし、経験してくるというプログラムです。これからの時代を生き抜く学生たちにとって、僕は『直観力』が非常に重要だと考えています。無意識的に物事を感じ取る『直感力』とは異なり、経験に基づいて意識的、論理的に思考、判断するのが『直観力』です。その直観力を鍛えるためには、既存のレールに乗って既存のメニューをこなすだけではダメ。『おもろチャレンジ』では自分の身体ひとつでチャレンジし、オンリーワンの経験をしてほしい。何かの成果を求めるものではないし、最悪の失敗をしなければいいと思っています。実際、これを体験すると、学生は本当に一皮むけますね」

「いまの学生は幼い頃からインターネットに慣れ親しんできました。そこではキーワードを入れれば、全員に同じ答えが返ってきます。ネットの世界では同じことが繰り返し起きるので、予想ができるし、身構えることもできる。でも自然や人間相手では、似たようなことは起きても、同じことは二度と起きません。予想がはずれることも多々ある。海外では特に、思いもかけないことが起きるでしょう。だからこそ、それを体験しておくことが必要なのです。心構えとして重要なのは『失敗しても命を落とさなきゃいい』ということ。正解ではなく、決定的に間違えないことを覚えるんです」

「僕はゴリラから、勝つことと負けないことは同義ではないと学びましたが、正解することと間違わないことも同じではないんです。自然界では大きな失敗をしちゃったら命を失いますから、決定的な失敗さえしなければいい。そうやって動物も人間も生きてきた。でも現代の人間は、頭の中ですべて処理しようとするので、どうしても正解を求め、より正解に近づくことばかり考える。そのためにフレキシビリティー(柔軟性)を失ってしまうのです。本当はもっといろんなやり方があるはずなのに、みんな同じように振る舞う方向に向いてしまう。それは直観力を使っていないからです」

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