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W杯は足元に注目 メッシ、香川が選んだ最新シューズ

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日経トレンディネット

「サッカーシューズのマテリアル(素材)は、劇的に進化しています」――。そうアディダス ジャパンのアディダスマーケティング事業本部 Football ビジネスユニット マーチャンダイジングの山口智久シニアマネージャーが語るように、科学の進歩で新たに開発された新素材によって、最先端のサッカーシューズは40代、50代のかつてのサッカー少年が使っていたスパイクとは、全く異なる印象をわれわれに与えている。

もう「靴ひも」はいらない?

1つめの進化は「アッパー(足を包むパーツ)」の素材だ。かつては天然の革が主流だったが、水を吸って重くなったり、履きこむほどに伸びて、形崩れしたりするものが多かった。しかし、合成皮革の技術進化によって、天然のレザーに迫るしなやかさや柔らかさを出せるようになり、耐久性も増した。

しかしここ数年、サッカーシューズのアッパーはさらに大きな変化を見せている。「最近は、ニット素材の生地をシューズのすべてのベース部分に使っています」(山口氏)というのだ。

最新のニット素材には、通気性の良さはもちろん革以上に耐久性が強く、形状も維持しやすく、丈夫で長持ちなどさまざまなメリットがあるという。

「唯一、レザーに勝てないデメリットと考えられていた『足なじみ』の部分でも、技術の進化でレザーに匹敵するか、レザー以上ではないかと考えられるものも生まれています」(山口氏)

それだけではない。「靴ひも」がないモデルも登場している。

確かに、ひもがなければ足の甲でボールを蹴る際に違和感がなくなり、よりダイレクトにボールにタッチする感触を得ることができるだろう。しかし、ひもで締めないと、脱げやすくなりはしないか。

「隙間がたくさんできると脱げやすいのである程度絞ったかたちにして、繊維の伸縮によって履いた後に足にフィットする構造になっています」(山口氏)。これらの進化により、最新のシューズの見た目は天然の革や合成皮革を使っていたころのシューズとは、大きく異なるものになった。

進化したのはアッパー部分だけではない。シューズを構成するもう1つのパーツである「アウトソール(靴底)」も、マテリアルの技術開発の進歩により大きな進化を遂げている。

かつてのシューズに比べ75%の軽量化

「アウトソールとしては、2010年の進化が大きかった」と山口氏はふり返る。かつて、シューズのアウトソールには屈曲性が高く、柔らかく、磨耗に強いウレタン素材のプレートが一般的に使われていた。しかし「2010年のW杯に合わせてアディダスがリリースしたエネルギーロスやストレスをゼロにする『アディゼロ F50』で、史上最軽量のシューズに挑戦したとき、アウトソールがナイロン製のプレートに替わりました」(山口氏)。

それまでのナイロンのアウトソールは、軽いけれども硬すぎて割れてしまう、足に対して衝撃やストレスがかかりやすいなどのデメリットのほうが大きかった。それを技術革新で柔らかく調整できるようになり、さらに硬くても壊れない耐久性も備わった。「そのナイロンがアウトソールのベースに使われるようになり、圧倒的に軽くなった。昔は400グラムを超えていたシューズの重さが、今は100グラム以内になりました。一番重かったころと比べると、3分の1、4分の1の世界です」と山口氏は話す。

アウトソールの進歩は「軽量化」だけではない。サッカー選手には、走る、止まる、方向転換してボールを蹴るために踏ん張るなど、さまざまな動きが要求される。その複雑な動きの中で高いパフォーマンスを発揮するには、土をかみ、力を大地に伝える靴底の「ポイント」が重要になってくる。

「昔は丸ポイントか、刃型(長方形の細長いブレード)の2種類くらいでした。そこから、丸と刃型を融合した三角型や、V字型、ダイヤモンド型、半月型など、さまざまな形に広がってきました」(山口氏)

最新シューズのポイントの特徴は、どんなサッカー選手にとっても最良となるものではなく、選手の持つ強みに合わせることを追求している点だ。

「選手のパフォーマンスを最大限に引き出そうと考えたとき、俊足の選手ならどれだけ速く走れるかが大事になります。一方で、ボールの扱いがうまく、コントロール性を大切にする選手もいます。そこでアディダスのシューズは、個々の選手の特徴に合わせて4つのタイプに種類分けしています」(山口氏)

では、どのようなタイプの選手に対して、どんな性能や特徴をもたせたシューズになっているのか。W杯出場国代表のアディダス契約選手が着用を予定している「ENERGY MODE PACK」でチェックしてみよう。

重視するのはスピードか、ボールコントロールか

現在、アディダスのサッカーシューズは、「X」「PREDATOR(プレデター)」「NEMEZIZ(ネメシス)」「COPA(コパ)」の4つのタイプに分かれている。まずは、香川真司選手やウルグアイ代表のルイス・スアレス選手が今大会で着用予定の「X」を見てみよう。

「Xは、スピード、スプリントに特化したスパイクです。できるだけ速く、瞬間的にスピードを出せるよう、無駄をすべてそぎ落とし、少しでも軽くなるように仕上げました」と山口氏が言うように、Xのアッパーは至ってシンプル。それに対して「スピードやスプリントがコンセプトのシューズなので、アッパー以上にアウトソールが占める重要性が大きい」(山口氏)ため、Xのポイントは特徴的な仕上げとなっている。

「足の裏で地面をかんで、蹴り出してスピードを出すために、ポイントはしっかりと地面を捉える形や配置になっています。人間の足の構造上、かかとで着地して、つま先の内側にかけて蹴り出していくので、かかとは着地したとき衝撃を吸収する丸みを帯びたポイントにしています。また、蹴り出し要素が強い足先のほうにいけばいくほど、エッジの部分がささり、ぐっと踏み込んで地面をしっかりとらえるV字型になっています」(山口氏)

では、宇佐美貴史選手やフランス代表のポール・ポグバ選手が着用する予定のプレデターのアウトソールにはどんな特徴があるのか。

「プレデターは『蹴る』ことに特化したシューズなので、グリップ性が高く、摩擦を生み、ボールに強いスピンをかけやすいよう表面の素材に段差をつけることでインパクトを生み出しています」(山口氏)。さらに「コントロール性を重視して、今回初めて『ダイヤモンドスタッド』というひし形のようなポイントを採用しました」と山口氏は説明する。

「ボールをしっかりと蹴ることが大事なスパイクなので、ポイントにはあらゆる方向に均一にバランスの取りやすいエッジを設けて、蹴る軸足の踏み込みを強くしています。極端な話、足の裏でもボールをコントロールするので『ある特定の方向ではエッジがぶつかるけれど、違う方向のときにはぶつからない』といったアンバランスが生じないよう、4つのエッジを設けているのも特徴です」(山口氏)

俊敏性を研ぎ澄ませるか、オーソドックスで攻めるか

武藤嘉紀選手やアルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手が着用予定のネメシスは、アウトソールも特徴的だ。

「Xは『直進がどれだけ速くなるか』ですが、ネメシスは『どれだけ機敏に動けるか』に特化しています。足との一体感をよりナチュラルに生み出すために、バンドで締め付ける構造です。ボクサーが手首に巻いているバンデージのようなものをサッカー選手もよく足に巻いています。それがシューズ自体に付いているので、これを履けば足首の周りが固定される。いきなり逆方向に走るなど、予測不能な動きがあっても足をしっかりホールドします」(山口氏)

どんな動きにも対応できる機敏さを実現するために、ネメシスのアウトソールのポイントはどうなっているのだろう。

「俊敏性や機敏さの追求ということで、ポイントはエッジと丸型のハイブリッドになっています。エッジがあるとブレーキが効きすぎて、次の動作に少し移行しづらい面もありますが、外側のポイントが丸みを帯びているので、360度、どの方向にもキュンキュンにターンしやすい。ただ、地面をかむ要素も大事なので、内側にエッジを付けることで、どちらの良さも発揮できる融合型(半月型)にしています」(山口氏)

4つめのコパは、ほかの3つに比べていわゆるオーソドックスなタイプになっている。

「コパはレザーのアッパーを使って、ボールタッチのフィーリングが一番ナチュラルに足の指に感じられる昔ながらのシューズです。天然の革で極上の素足感覚を追求した、すべてを器用にこなすオールラウンダー向けです」(山口氏)。靴底のポイントも、従来のシューズに近いオーソドックスなものとなっている。

「コパのポイントは限りなく丸に近くノーマルなバランスの配置で、全体的にナチュラル、ニュートラル、シンプルな要素が強い。よりエッジのきいた機能がプロ選手向きだとすれば、まだサッカー選手としての自分の特徴が分かっていない、部活動で定番シューズを求める中高生たちが、迷ったら『とりあえずこれ』と選んでもらえるタイプですね」と山口氏。

勝手にカスタマイズされるのが理想形

日本代表ユニホーム、そして今大会で数々の選手の着用が予定されているシューズを通して、サッカーアイテムの進化について検証してきた。これらの技術の進歩が目指す共通のテーマは「選手のパフォーマンスを最大限に引き出すこと」。そこで今後、ユニホームとシューズには、いかなる進化が求められていくのか山口氏に尋ねてみた。

「個人的な考えですが、ウエアもシューズも共通していて、その時々の自分の体の状態、足の状態にぴったり合う形になって、勝手にカスタマイズされるウエアとシューズが理想です。体温が上がってきたら熱を発して涼しくなり、寒いときには熱をためこんで保温する。その気候に合わせてオートマチックに調整できるユニホーム。朝イチと夕方の足はむくみ具合が違うけれど、その時々の微妙な状態にちゃんとフィットするシューズがベストかなと思っています」(山口氏)

では、サッカーファンには今大会、どのような点に注目してほしいのだろうか。

「ボールのデザインは過去のインスピレーションを受けながらも、現代のきめ細かさが反映されています。ウエアのデザイン1つとっても、いろんな国のアイデンティティーが表れている。シューズもより自己表現がしやすくなっています。性能で選手のパフォーマンスを高めながら、選手の魅力が見た目のインパクトでも伝わるようになっているので、パフォーマンスとデザインの両方を楽しめるワールドカップになると思います」(山口氏)

今大会は、ユニホーム、シューズの科学的な知識も生かしながら、世界トップレベルの選手たちの素晴らしいパフォーマンスを心ゆくまで楽しみたい。

(ライター 佐保圭)

[日経トレンディネット 2018年6月7日付の記事を再構成]

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