Memojiのカスタマイズ機能。顔色や髪形はもちろん、メガネなどさまざまなオプションがある
FaceTimeは最大32人のビデオ通話に対応。Memojiも利用できる

また、iOS 12のAR関連の機能でもコミュニケーションが強化される。複数のiPhoneユーザーが同じAR体験を共有できる仕組みが入るのだ。これによって、従来1人の世界に閉じていたARが、コミュニケーションを活性化する道具に変化したことにもなり、今後登場する対応アプリがとても楽しみになった。

一方で、今回は新機種の発表がなかった。中でも事前に噂されていた「iPhone SE」の後継機は、コンパクトな端末が好きな筆者も大いに期待していただけに、発表がなかったのは残念だ。

佐野正弘
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。NIKKEI STYLEに「佐野正弘のモバイル最前線」を連載中。

西田氏:将来に向けた準備の意味合い強い

今回のWWDCは派手な要素が少なかった。それはおそらく、機能を盛るより、安定性や速度といった「ソフトウエア品質」に重点を置いたからだろう。

Siriがその時間によく使う機能などを先回りしてサジェスチョンしてくれる

一方、機能追加としては、ARKitの強化や、Siriが使いそうな機能をサジェスチョンしてくれる機能、macOSでiOSアプリが将来使えるようにするなど、先のための基盤を作るような発表が目立っている。どれもまだ2、3年は環境整備が必要になりそうな機能であり、2020年ごろに向けた準備、という意味合いが強そうだ。

※ARKit iPhoneやiPadで動作するARを活用したアプリを開発するための環境のこと。

AIの活用などについては、グーグルやマイクロソフト、アマゾン、フェイスブックに比べ派手さに欠ける。別の言い方をすれば、夢見がちな機能はない。AIの開発で後手に回っている、ということもあるが、他のプラットフォーマーとは異なり、アップルがハードウエアの会社である、ということも関係している。「次のiPhone」などのハードウエア製品に実装されないものや、未完成で見せられないものの話はしない会社になっているのだ。

ARKitのような新機能にしても、Siriとの連動にしても、今回発表された新機能は、アプリの対応が必要な部分が多い。WWDCは本来開発者向けの会議であり、それに立ち返った、ということになる。

西田宗千佳
フリージャーナリスト。1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。NIKKEI STYLEに「西田宗千佳のデジタル未来図」を連載中。
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