正解は、(1)ジョギング です。
「突然死は運動中に起こりやすい」は本当か?
ある日突然症状が出現した後、状態が急変し、24時間以内に死亡してしまうことを「突然死」と呼び、働き盛りの中年の男性に多いといわれています。
北島康介選手のライバルともいわれた競泳ノルウェー代表のアレクサンドル・ダーレ・オーエン選手や、サッカー元日本代表の松田直樹選手などの例があるため、「突然死は運動中に起こりやすい」と思っている人も少なくないようです。
実際、運動は突然死のリスクになるのでしょうか?
「米国オレゴン州の予期しない突然死に関する研究(The Oregon Sudden Unexpected Death Study:Oregon SUDS)」では、約12年(2002~2013年)間を費やした疫学調査が行われました。この研究では参加者の病歴を調査し、運動による突然死のリスクについて調べています。その結果は2015年3月、医学雑誌「Circulation」で発表されました[注1]。
結果は、観察期間中に突然の心停止が1247例に発症し、そのうちの63人(5%)のみが運動中に起こりました。また性別で見ると運動中に突然の心停止を起こしたのは圧倒的に男性に多く、平均年齢は51.1歳(35~65歳)でした。
また、この調査において、突然の心停止が最も多かったスポーツはジョギング(27%)で、続いてバスケットボール(17%)、サイクリング(14%)、いろいろなジム活動(11%)、ゴルフ(8%)、バレーボール(3%)、テニス(3%)、サッカー(3%)、その他の運動(14%)でした。
米国心臓病学会(American College of Cardiology)によると、激しい運動中に突然の心停止や急性心筋梗塞の発生率が上昇することがこれまでの研究で示されています。ただし、定期的な運動がこうしたリスクを軽減することも事実のようです[注2]。
中年における運動中の突然死の割合は低いため、運動で得られる利益に比べれば、突然死のリスクははるかに低くなります。つまり、中高年の習慣的な運動は、突然死のリスクを考慮に入れても、安全というわけです。
[注1]Circulation「Sudden Cardiac Arrest During Sports Activity in Middle Age」
[注2]American College of Cardiology「Sudden Cardiac Arrest During Sports Activity in Middle Age」
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday2018年6月4日付記事を再構成]