充電時間はケーブルで違う 実験で6倍かかる商品も
特集 バッテリーの賢い使い方(3)
スマートフォン(スマホ)の充電にやたらと長い時間がかかる……。そんなときは、充電に使うケーブルを疑おう。スマホの充電時間はケーブルによって変わり、ダメなケーブルを使っていると充電時間が長くなる。実際にケーブルによってどの程度違うのか。記事「ルーターの場所でWi-Fiは速くなるか 4つの実験」で「ルーターの配置転換」効果を実験して確認した日経PC21編集部が、さまざまなケーブルを集め実際に計測してみた。
ケーブルごとに電圧と電力を測定
充電に必要な電力は、充電時の電圧と電流で決まる。それらが多いと充電時間が短くなる。さらに充電に使うUSB端子の場合、電圧が規格で5Vに定められている。そのため、電流の大小で充電時間が決まることになる。最近のスマホは急速充電に対応しているが、ダメなケーブルを使うと電流が多く流れず、せっかく急速充電器を使っているのに、通常の充電以下のスピードになる場合もある。
充電時の電力は、簡易計測器で調べられる。これを使えば、ケーブルによって充電時の電力にどのような違いがあるか調べることができるわけだ。そこでさまざまな種類のケーブルを集め、電流の違いを測定してみた。
ケーブルは、一般的に内部の線が太くて短いケーブルのほうが多くの電流を流せる。また、電圧はケーブルの長さに影響されない。そこで最初に長さが異なる同じメーカーのマイクロUSB7種類を用意し、充電器でスマホ「エクスペリアZ5」(ソニーモバイルコミュニケーションズ)を充電してみた。
充電に使うケーブルは1メートル以内に
実験の結果、1メートル以上のケーブルで電流が低下した。2メートルや3メートルのケーブルはさらに電流が低下する。ケーブルの良しあしで多少の差はあると見られるが、1メール以上のケーブルは充電に使わないほうが無難だろう。
マイクロUSBケーブルは幅広く使われているため、手持ちのケーブルも多いはずだ。充電にはつい近くにあるケーブルを使ってしまうという人もいるだろう。そこで家電量販店や100円ショップで売られているケーブルや、製品に付属するケーブルを集め、ケーブルによって充電時間は違うのか、実験してみた。
電流を測定したところ、こちらも長いケーブルで電流が低下した。
100円ショップで売られているケーブルでも、多くは大手周辺機器メーカーが販売しているケーブルと同じ電流が流れており、同様に利用できる。ただし、ケーブルをコンパクトに収納できるリールタイプのケーブルは内部の線が細いためか、約50センチと短かったにもかかわらず、電流がかなり少ない。ほかのケーブルの約6分の1しか流れておらず、充電に6倍も時間がかかってしまう。線が細いリールタイプのケーブルや極端に長いケーブルは充電には適さない。
充電専用のUSBケーブルも売られている。パソコンのUSB端子に接続したときでも、大電流が流れるため、充電時間が速い。パソコンのUSB端子で充電するなら、1本は持っておきたいケーブルだ。ただし、充電専用のケーブルは信号線が接続されていないため、データ通信ができないという欠点もある。
ケーブルの品質は、パッケージの表記を信じるしかない。大電流が流れるケーブルには、必ず電流が記載されている。急速充電を利用するなら、この表記を目安にケーブルを選ぶようにしよう。
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(文 原如宏、田代祥吾)
[日経PC21 2018年5月号特集「充電の裏テク」を再編集]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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