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代表ユニホーム ジャパンブルーは藍染めの青だった

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日経トレンディネット

サッカーW杯で選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、日本代表のユニホームは日進月歩の進化を遂げている。しかし、そのスポーツウエアとしての最先端の機能性に迫る前に、今さらながらどうしても確かめておきたいことがあった。なぜ日本代表のユニホームは青なのか。

日本の国旗は白地に赤の日の丸だから、今回のアウェーのユニホームが白いのは納得できる。そうなると過去の一時期そうだったように、ホーム用のユニホームのベースカラーは赤のほうがしっくりくるはずだ。

公益財団法人日本サッカー協会のサイトにある「2002FIFAワールカップ記念 日本サッカーミュージアム」を見ると、サッカー日本代表のホーム用のユニホームには、少なくとも1936年のベルリンオリンピックのときから、ごく一部の国際大会を除いてずっと青系が使用されている。記憶にあるW杯日本代表のホームのユニホームは、すべて青を基調としている。

なぜ、日本代表のユニホームは青いのか。どうして、明るい青や紫がかった青とは色合いの違う青になったのか。まずはその謎の答えが知りたい!

どうしてジャパンはブルーなの?

今回のワールドカップに出場する32カ国のうち、日本、ドイツ、アルゼンチン、スペイン、ロシア、メキシコ、コロンビア、ベルギー、スウェーデン、エジプト、イラン、モロッコの12カ国の代表チームのユニホームを提供しているのがアディダス。そして、今回のユニホームのデザイン・コンセプトを決める日本側のリーダーを務めたのが、アディダス ジャパンのアディダスマーケティング事業本部 Football ビジネスユニット マーチャンダイジングの山口智久シニアマネージャーだ。

「なぜ、日本の代表ユニホームは青なのか、という理由を深堀りしていくと、アトキンソンという英国の化学者が日本の藍染めを見て、『なんて美しい青の国なんだ、日本は!』という驚きを世界に広めたことから始まったという歴史に行き当たりました」

そう山口氏が指摘するとおり、1874年、日本へ来た英国人化学者のロバート・ウィリアム・アトキンソンは、当時の日本でよく見られた藍染めの暖簾(のれん)や着物の美しさに魅了され、その青を「ジャパンブルー」と呼んだ。それが「日本=青」の起源だったというのが、有力な説と考えられている。

では、なぜ今大会のユニホームの「ジャパンブルー」には、これまでと少し違った印象を持つ青が選ばれたのだろう?

「始まりは2014年のW杯ブラジル大会です。日本代表は予選リーグで敗退しました。当社の2014年モデルは史上最高の枚数が売れたので、ビジネスとしては成功でした。しかし、日本サッカー協会も、選手も、サポーターも、負けて悔しい、残念だという気持ちが圧倒的に強く、自信を持って成功と言える人はいなかった。そこで次のロシア大会に向けたユニホームを考えたとき、最初に決めた方針が『日本が世界に勝つためのユニホーム』でした」(山口氏)

深く濃い藍色は「勝つためのブルー」

「ジャパンブルー」の基となる藍染めを調べ続けるうち、山口氏は今大会の日本代表チームのユニホームのコンセプト「勝色」に出合ったという。

「日本の伝統の色として『褐色(かちいろ)』は色彩辞典にも載っています。厳密には『より深く濃い藍色』のことです」(山口氏)

藍染めを調べてみると「かつ(たたく)」という工程が重要であることが分かった。昔から、職人たちは「かつ」ことを繰り返すことで、より深く濃い藍を染み込ませていく。この「かつ」を「勝つ」と読み替え、「褐色(かちいろ)」を「勝色」ととらえた武士たちが、戦に勝つために深く濃い藍色に染めた布きれを身に着けるようになったという。

「かつての侍たちが戦に挑むとき、『強くなりたい』とか『戦に勝ちたい』という魂を込めることで、初めて伝統的な『褐色(勝色)』が存在した。勝つためのユニホームということで、その『勝色』に行き着きました」(山口氏)

だから勝つための褐色(深く濃い藍色)を選んだのだという。では、あの白いステッチのような柄はなんなのだろう?

「このデザインは、刺し子柄をイメージしたものです。刺し子は生地の強度を高める伝統的な技法なので、『強くする』という要素を表します。また、初出場した1998年から20周年の節目の年に日本が世界で勝ってほしいという思いを『歴史を紡ぐ糸』のグラフィックで反映させました」(山口氏)

今回の「勝色」「刺し子柄」には「日本代表に勝ち抜いてほしい」という願いが強く込められていた。そんな最新のユニホームは、どのような優れた機能性を持っているのだろうか。

サッカー専用の機能性ファブリック

「一つは、体をクールに保つための『冷却性』。もう一つは、汗をいっぱいかくので、べたつきをどれだけ避けられるかという『吸汗速乾性』です」(山口氏)

では、その冷却性と吸汗速乾性はどのように実現しているのか。「今大会の日本代表ユニホームでは、特殊な極細繊維の編み合わせでつくりあげた『クライマチル』の機能を初めて搭載したのが大きい」と山口氏は胸を張る。

「クライマチル(CLIMACHILL)」は、2014年にアディダスがトレーニング、テニス、アウトドアのラインアップで発売した機能性の高いファブリック(織物・布地)だ。既存のクライマチルの特徴は、肌に接触して冷感をもたらす「アイスドット」と、2種類の糸が組み合わされた生地を採用することで、高いクーリング性能・通気性・吸汗速乾性を実現した。

しかし、今大会の日本代表のユニホームをみると、どこにも「アイスドット」らしきものは見当たらない。

「今回のW杯のユニホームは、フットボールのために独自にアレンジされた『クライマチル』です。もともとのクライマチルには、冷却するためのチタンの細かいドットがついていましたが、重くなるし、動いているときの違和感にもつながりやすいので、フットボールウエアでは省いています」(山口氏)

そう山口氏が説明するように、今大会のW杯の12カ国の代表ユニホームに使用されている「クライマチル」は、サッカーという競技に最適化された「クライマチル」だった。生地の素材や編み方もフットボールゆえの進化を遂げているという。

高い均一性でベストなパフォーマンスを

「今回のユニホームは均一性において革新的な技術を取り入れています。特殊な加工や編み方によって、異素材の組み合わせではなく、1つの独自繊維で織り込んでいます。どのパーツにおいても、繊維をより均一に保つことで動きの中でのバランスがとれて、違和感が出づらくなっています」(山口氏)

2種類の糸で実現していた「冷却性」「吸汗速乾性」を、1種類の新素材の糸と特殊な編み方で実現したのが、今回のユニホームのポイントだという。

サッカー専用のクライマチルはシルエットも違う。

「フットボールはジム・トレーニングなどに比べて動きが激しく、動作も大きいので、同じつくりにすると、余計なテンションやストレスが体にかかってしまう。選手が違和感なくパフォーマンスが発揮できることが一番大切ですから、シルエットやカッティングパターンをフットボール独自の形にすることで、選手が蹴るときに手を上げたり、相手に引っ張られて倒されそうなときにも、しっかりと伸縮して体にフィットする特殊な最終仕上げになっています」(山口氏)

ユニホームに求められる条件は、まだある。

「軽さと耐久性は、いついかなるときにも求められます。軽ければ軽いほどいいが、すぐ破れたり、伸びたりしたら話にならない。軽くすれば耐久性が損なわれていくなかで、双方をベストなバランスで満たしています」(山口氏)

今大会の日本代表のユニホームは、「勝色」に込められた思いと、素材や編み方の技術革新で実現した均一性の高さで、選手の能力を最大限に引き出すものとなっていた。

(ライター 佐保圭)

[日経トレンディネット 2018年5月30日付の記事を再構成]

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